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トップページ > 地域のページ > まちづくり > 全国商工新聞 第2816号 2月4日付

地域 まちづくり
 

阪神・淡路大震災13年
「人間の復興」なんとしても
被災者支援法の遡及適用を
兵庫県連など 再建できない現実訴え

 阪神・淡路大震災から13年余。1月16〜17日と神戸市内で開かれた追悼集会では、国の直接補償がなかったために生活再建の途上にある被災者が数多く残される実態が浮き彫りになりました。兵庫県商工団体連合会(県連)と民主商工会(民商)など広範な団体の粘り強い運動で昨年11月、被災者生活再建支援法の改正をかちとり、住宅本体再建への適用が実現。しかし阪神・淡路大震災、中越の被災者には適用されません。集会では、特例措置の実現と支援法のいっそうの拡充をめざし、奮闘を誓い合いました。

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16日に開かれた「被災者の今を語る」で現状を語る須磨民商の日高会長
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空き地が点在する長田区内
 阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議が主催した「被災者の今を語る集い」が1月16日、神戸市勤労会館で開かれ、80人が参加しました。阪神・淡路大震災や中越大震災の被災者など8人が、重くのしかかるローン返済、家賃が払えず災害公営住宅を追い出される事例や相次ぐ孤独死など、「人間の復興」が道半ばであることを告発しました。
  兵庫県連の磯谷吉夫会長=飲食=は震災直後から救援活動と営業再建、公的支援を求めて政府、自治体交渉などに奔走した体験を語り、家族と従業員の力が心の支えになったと強調。「全国の被災者と共同でつくりあげた支援法改正は画期的。店舗、工場への適用をかちとる運動を」と切実な業者の要求を訴えました。
  須磨民商会長の日高三郎さん(66)=ケミカルシューズ製造=は「地場産業で働く者は、地域の住民が元気が出て初めて営業が成り立ちます。災害は自分たちの力だけではどうにもならない。でも負けません」と体を震わせて訴えました。
  翌17日は、早朝から追悼行事が市内各所で取り組まれました。
  長田民商も入った震災復興長田の会は、メモリアルウオークを開催。区画整理地域や空き店舗だらけの再開発ビルを回りながら、同民商の井原清副会長(59)=布団・石材=は「他団体や住民に参加してもらい、いかににぎわいを取り戻すかが鍵」と話します。
  戎シズコ副会長(68)=ケミカル加工・縫製=は「政治を変えなければ。国民を“モノ”のように扱う政治ではなく、あったかな政治の実現を」と語ります。
  同県民会議が開いた「阪神・淡路大震災13年メモリアル集会」には200人が参加。積年の運動が政治を動かしたことを確信に、支援法の支給金額の大幅な引き上げや店舗再建、半壊世帯への適用などいっそうの拡充と特例措置を求める声明とアピールを採択しました。

改正被災者生活再建支援法とは
 地震など大規模な自然災害の被災者を支援する法律。改正法が11月9日、衆参両院で全会一致で可決・成立、12月14日に施行され、被災者の悲願だった住宅本体の建て替え・補修が対象となりました。
  主な内容は(1)最大で300万円を「定額渡し切り方式」で支給、使途は限定しない(2)「全壊」世帯は100万円、「大規模半壊」は50万円を支給(3)住宅の建築・購入は200万円、補修は100万円、賃貸は50万円を追加で支給する‐などです。
  支援内容が充実する一方で改善すべき問題も残されています。支援されるのが「全壊」「大規模半壊」に限られ、店舗兼住宅は、住宅部分が「全壊」と判定されなければ対象とならず、工場や店舗は対象外です。
  また、改正法の適用は能登半島地震、中越沖地震、台風11、12号の災害から。阪神・淡路大震災の被災者は13年経った今でも生活が再建できずに苦しんでいる人も少なくなく、改正法の遡及適用は切実な要求です。

復興施策の打ち切りに悲鳴
「直接補償があれば…」

 「個人補償はしない」と「自助努力」を強いた国の復興施策で、自宅や店舗、工場を失った中小業者は二重三重の借入れを強いられました。
  そして10年が経過した05年、「震災は終わった」と県や神戸市はさまざまな復興施策を打ち切り、震災復旧融資は「別枠」から一般融資の扱いに。保証限度額を超えると新たな公的融資が借りられないと悲鳴が上がっています。
  長田民商の出口雄治さん(77)=ケミカル裁断=は自宅と工場の再建で二重ローンを抱え、返済終了予定は100歳を超えます。
  区画整理などで自宅は6回、工場は2回の移転を余儀なくされました。「震災時は着の身着のまま避難し、家も工場も焼失しました。あの時、石川県並みの直接補償を、していてくれれば…」。
  「震災特例貸付をめぐり兵庫県が国に返還免除規定の新設を求めている」(神戸新聞1月17日付)と報道される状況です。
  長田区の丸五市場で鶏肉・惣菜店を営む長田民商の安田富男さん(65)、みえこさんは「将来が不安」と顔を曇らせます。
  上からの都市計画で住民を追い出し、人口は8割5分しか回復していない同区。大型店出店を野放ししている状況もあり、市場には震災前100軒を超えていた店舗が今は15軒ほどしか開いていません。
 
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