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  トップページ > 地域のページ > まちづくり > 全国商工新聞 第2808号 11月26日付
地域 まちづくり
 

被災者の悲願 住宅再建・補修にも適用
改正被災者生活支援法が成立 
粘り強い運動 国を動かす

新潟県連・民商ら 国や議員へ要請
最大300万円、店舗兼も対象

 地震などの被災者を支援する「改正被災者生活再建支援法」が9日、衆議院で全会一致で可決、成立しました。阪神・淡路大震災から12年。被災者をはじめとしたこの間の運動が国を動かし、被災者の悲願だった住宅本体への支援、収入・年齢制限の撤廃、遡及適用がようやく法律で明記されました。新潟県商工団体連合会(県連)は7日、柏崎、十日町、魚沼民主商工会(民商)とともに地元国会議員、衆参災害対策特別委員長に要請し、経済産業省、内閣府と交渉。被災業者の実情を訴え、営業と生活への支援策の充実を求めました。

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被災者への支援策の充実を求めた新潟県連の経済産業省との交渉
 この日の行動には25人が参加。中越沖地震で最も大きな被害を受けた柏崎民商はマイクロバスを借りて18人が上京し、「住宅本体への支援を今国会で何としても実現させたい」との思いで終日行動しました。
  内閣府は「店舗兼住宅については「住宅に着目して調査し、被災認定をする」と回答。法改正後は支援金の使途が限定されないために、店舗兼住宅にも支援の道が開かれ、建て直しをしない場合も被災住宅の解体・撤去費用に充当できることなどが明らかになりました。
 
被災認定の改善あらためて回答
  参加者はこうした答弁を歓迎する一方で、被災認定などの問題点を指摘。「中越沖地震では地盤災害が深刻なのに、被災認定には地盤被害が加味されない」「被災調査の『指針』には建物の水平的な傾きが考慮されていない。『指針』を直すか、現場での弾力的な運用を図ってほしい」などと要望。内閣府は「『指針』は技術的助言である」「『改正案』では、敷地の被害で建物を解体せざるを得ない場合は『全壊』扱いとなる」「被害の実態に合わせて弾力的に運用するよう伝えてある」と回答し、自治体での被災認定を改善させる答弁をあらためて引き出しました。
  申し入れでは実情を訴え、中越大震災に続き、中越沖地震とダブル被害を受けた小林智穂子さん(61)=理容=が「中越大震災で被害を受けた建物を来年の期限までに解体しなければ費用の返却が求められる。今回の地震でさらに被害が大きくなったが、先の見通しが立たないうちは解体に踏み切れない。期限を3年間ぐらい伸ばしてほしい」と要望。倉部マサ子さん(59)=弱電加工=は「屋根が飛び、雨漏りしているが『一部損壊』となり、一切の補助がない。お年寄りが多く、住宅再建をあきらめている人もいる。『一部損壊』でも何らかの支援をしてほしい」と強く訴えました。
 
業者や商店街にも国の対応策を
  経済産業省では、営業再建に必要な災害対策融資の実行などを要望。「銀行の窓口では『家も全壊、商売も駄目で収入もないのにどうやって返すのか』と言われ、融資を断られた」などの実態を告発し、「商売が再開できないのに税金が払えるはずがない。融資の納税要件をなくすべきだ」と訴えました。
  また、「現場ではさまざまな条件を付けられて融資が借りられない。国からの救済がなければ、被災地域の復興はない。震災から立ち上がろうとする業者に国の援助が必要」と国の対応策を迫りました。
  壊滅的な打撃を受けた「えんま通り商店街」などへの支援については、「商店街がどういう方向で復興するのかを示し、相談内容によっては、共同店舗建設に対する補助ができる。商店街が方向を示せばチャレンジショップのような『空き店舗』活用に対する同様の支援が可能ではないか」と答えました。

定額渡し切り方式で支給 能登半島地震から適用に
改正の主な内容

 改正された「被災者生活再建支援法」の主な内容は次のとおりです。
  (1)住宅再建の形に応じて最大300万円を「定額渡し切り方式」で支給し、使い道は限定しない(2)「全壊」世帯は100万円、「大規模半壊」世帯は50万円を支給(3)住宅を建築、購入する場合は200万円、補修は100万円、賃貸は50万円を、追加で支給(4)年齢・年収要件の撤廃(5)適用されるのは能登半島地震、中越沖地震、台風11号、12号による災害から‐‐などです。
  また、現行法で住宅の解体撤去費などの支給を受けている世帯も、差額を受け取ることができます。
  同法は附帯決議で、支給限度額の引き上げの検討や、施行後4年を目途にした制度の見直しなどが盛り込まれました。
  住宅本体への適用や年齢・年収要件の撤廃など支援策が大きく前進する一方で改善すべき内容も残されています。
  支援される被災世帯が「全壊」、「大規模半壊」に限られていることや、店舗兼住宅は住宅部分が「全壊」と認定されなければ支援の対象にはならず、事業所や工場、店舗は支援の対象になっていません。
  また、認定にあたっては内閣府が「被害認定基準運用指針」を示し、「弾力的な対応を指導している」といいます。
  しかし、地方自治体では事実上「絶対的な基準」とされているなどの問題が指摘され、「指針」や運用の見直しなどが求められています。さらに、限度額も「住宅購入には最低500万円の補償を」の声が強く上がっています。
  改正法は能登半島地震から適用されますが、阪神・淡路大震災をはじめ、それ以前は適用外。今でも生活再建ができない被災者が残されており、さかのぼっての適用は切実な問題です。

成果を力に改善めざす
新潟県連会長 能登惣五郎さん

 改正法は全壊・大規模半壊に限られていますが、住宅の再建・補修に対する直接支援がされることは大きな前進であり、これは阪神・淡路大震災以来の被災者を先頭にした粘り強い運動を続けてきた貴重な成果だと思います。
  この成果を力と確信にし、さらに運動を前進させていきたいと思っています。
 
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