商店改修助成制度 地域経済の活性化へ
「地域経済活性化へ、中小業者の仕事おこしを」―― 。各地の民主商工会(民商)は自治体に働きかけ、商店リニューアル助成制度や空き店舗支援事業などを創設・拡充させています。「制度を利用して商売に生かそう」と活用を呼び掛けています。
商店の魅力アップ応援 市の職員招き学習会=新潟・新津
新潟市は6月10日より商店リニューアル助成制度「新潟市地域商店魅力アップ応援事業」をスタートします。新津民商は5月12日、新津本町と荻川の2会場で同制度の学習会を開催。市の商業振興係長と主事を招き、会内外から17人が参加しました。
同制度は、店舗の改装・備品の購入を行う事業者に費用の3分の1(上限100万円)を補助するもの。(1)市内で小売業、飲食業、生活関連サービス業のいずれかを営んでいる者(2)申請日前に1年以上継続して同一店舗にて同一事業を営んでいる者(3)従業員5人以下か売り場面積250平方メートル以下の店舗(4)市税完納者-などの要件を満たす店舗が対象。市内業者から1点あたり3万円以上で、総額15万円以上の工事または購入をした場合に補助が出ます。
参加者から「2店舗持っているが、それぞれ使えるのか」「写真業は対象外なのか」「相見積りが必要なのは手間がかかる」など、質問や感想が出されました。
1次応募は7月10日まで(予算がなくなり次第終了)。民商では、「制度を活用し、商売に生かそう。細かい要件や手続きがあるので、相談を」と呼び掛けています。
店舗大衆助成を実現 長年の運動実る=北海道・室蘭
北海道登別市は、4月議会で「店舗リフォーム補助金」の実施を決定しました。室蘭民商が提案してきたもの。
補助金は、補助対象の2分の1以内で最高20万円。商品陳列棚や看板、空調設備など、建物と一体となって機能する設備も対象です。
予算は200万円で対象事業者は10件ですが、さらに増額する予定もあります。
室蘭民商は、昨年秋の自治体訪問で、担当部局に商店リニューアル制度について申し入れ、商工新聞に載った先進地域の取り組みや実績を紹介しました。また、恒例となっている年始の自治体訪問時に小笠原春一市長とも懇談し、「業者のための政策を考えている」との言葉を得ていました。
田口清英会長は「長年にわたって、自治体交渉を行ってきた成果。自治体もやっと地域の中小業者対策に目を向けるようになってきた。年に2回の自治体交渉で先進民商の事例を出して、粘り強く交渉を行ってきた成果が出た」と話しています。
民商では今後も交渉を続けるとともに、制度を利用しての仕事おこしを会内外の業者に呼び掛けていきます。
市長交渉重ねて 空き店舗事業を拡充=岩手・一関
岩手県一関市はこのほど、合併前の旧市内のみ利用が可能だった「空き店舗入居支援補助事業」(空き店舗支援事業)を、旧町村地域の商店街も対象となるよう制度を拡充するとしました。一関民商が12年から要望を行っていたもので、3年越しの運動が実ったものです。
空き店舗支援事業は商店街の活性化対策として、空き店舗に入居する人に対し、店舗の内外装工事費用の2分の1(上限100万円)を補助するもの。小売り、飲食、サービス業などを営む中小企業者が対象です。
同事業は12年に始まったものの、「(空き店舗支援を)利用しようとしたが、旧市内以外では使えないと言われた」「同じ市内なのにおかしい。差別ではないか」などの相談が寄せられていました。
このため民商は同年、一関市への要望を開始。支援事業の対象地域拡充や、年間500万円に過ぎない予算の拡充を迫りました。ところが市は「(制度の拡充は)考えていない」との回答を繰り返すだけでした。
民商はあきらめることなく、市長交渉でも繰り返し要望。「商店街の空き店舗に若くて個性的な感性を持つ業者の入居を促進することは、商店街の活性化はもちろん、地域の持続的発展につながる」と、制度の改善を重ねて求めてきました。13年12月の交渉で、勝部修市長は「商店街ににぎわいを取り戻すことは確かに重要」「何らかの施策を講じていきたい」と積極的な姿勢を示しました。
日本共産党一関市議団もこの問題に着目。民商の副会長でもある藤野秋男議員が、何度も店舗入居支援の拡充を要求、市長から前向きな回答を引き出していました。
民商の小野寺喜久雄会長=建築設計=は「新規開業者への支援拡充が図られたことは大いに喜ぶべき。補助要件が厳しい上に予算が少ないなど問題点も多いので、民商として制度のさらなる改善に取り組み地域商業の活性化につなげていきたい」と話しています。
全国商工新聞(2015年6月1日付) |