小規模基本法の理念活かし 業者の声施策に反映を
全35自治体と懇談=群馬県連
群馬県商工団体連合会(県連)は10月7日から24日、県内全ての35自治体と小規模企業振興基本法(小規模基本法)について要請と懇談を行いました。大野豊文県連会長ら延べ145人が参加しました。
懇談では、小規模基本法が成立した背景や「従業員の数が5人以下の事業者」を初めて施策の中心に位置付け、中小業者の声を聞いて施策に生かすことを自治体の責務としたことなどに触れ、振興策策定の議論に「小規模業者を組織する民商の代表を入れてもらいたい」と要請しました。
また、住宅リフォーム助成や商店リニューアル助成など地域経済に波及効果を広げる事業の拡充・改善と継続、そして創設について県内の実績も紹介しながら検討するよう求めました。
中小業者の現状について、多くの自治体から「経済状況は好転していない」(みどり市)、「人口が減り、後継者がいない。商工会の会員も激減している」(甘楽町)、「地元の業者が繁栄しなければ先はない」(高山村)などの厳しい実態が紹介されました。
比較的規模の小さな自治体の首長からは「アベノミクスは失策。大企業優遇の政策ミスだ」「(国は)法律はつくるが金は出さないで地方にやらせるなんてとんでもない」「小泉(元首相)が悪い」など、国の経済政策を真っ向から批判する声が寄せられました。
同時に、「制度融資の小口資金についてゼロ金利にしている」「中小企業振興条例を制定し、中心市街地の店舗改装費・家賃への補助、空き店舗対策として固定資産税の2分の1補助を行っている」「商店リニューアルについて(高崎市に)問い合わせ、研究している」など、全県に波及できる自治体施策も明らかに。持続可能な循環型の仕事おこし、振興への努力が示されました。
小規模基本法に基づく振興への「基本計画」づくりについては、従来の枠にとどまり、商工会や商工会議所へ丸投げする自治体も少なくありませんでしたが、「公募で募ることになる」「(中小業者の)生の声を取り入れられるようにしたい」など小規模基本法を生かす回答が寄せられました。
全自治体要請に取り組むに当たって県連は、経済センサスから各自治体の産業構成、世帯数に対する事業所割合など地域の特徴を捉え、中小業者の存在を示して懇談に生かしてきました。
1市3町2村を訪問した萩原誠県連副会長は「郡部は顔が見える施策を進めている。今回の懇談を通じ、流れを変えるスタートにしたい」と語っていました。
実態調査など6項目要求=神奈川県連
神奈川県商工団体連合会(県連)が加入する神奈川県民連絡会は4日、県と交渉を行いました。県内民主商工会(民商)と県連から25人が参加。吉田二三夫県連副会長を団長に、小規模企業振興基本法(小規模基本法)を軸に中小業者の要求実現を迫りました。県は産業労働局総務室の企画調整担当課長など15人が対応しました。
民商・県連は「5人以下の小企業の実態調査を」など6項目を要求。「毎日お客さんの顔を見ながら商売する中小業者にとって、仕入れの値上がり分や消費税などをすべては転嫁できない厳しい実態があることを理解してほしい」「現場に足を運んでほしい」と中小業者の実態を訴えました。
県の担当者は「知事が議会で、小規模基本法の視点で条例も見直すと答えた。その中で調査や意見聴取の方法も検討する」と回答しました。
住宅リフォーム助成制度創設については、大きな経済波及効果を上げた厚木市の例を挙げ実施を迫りましたが、財政難を理由に拒むという矛盾した回答に終始しました。
また、生活福祉資金の改善について、鎌倉民商のHさん=ハウスクリーニング=が利用しやすい制度への改善を要求。「きょう、明日を生きていくための制度だと思ったが、申請者に対する真摯な態度、対応がまったく感じられない」と申請の実態を告発しました。
全国商工新聞(2014年11月17日付) |