口蹄疫感染問題で国は防疫、保証などの対策を
宮崎県児湯郡都農町で口蹄疫(注)に感染した家畜(牛・豚)が確認された4月20日以降、拡大する被害に飼育農家をはじめ関連業者に衝撃が走っています。これまでに126農場で感染・感染疑いが確認され、10万5000頭を超える家畜が処分対象になっています(5月18日現在)。日向民主商工会(民商)の会員にも被害が出ており、融資の保証料や利子補給とともに直接補償を国や宮崎県に要望しています。
日向民商都農・川南支部には7人の養豚業者、畜産農家、畜産関連業者がいます。川南町は口蹄疫の発生が集中している地域で「いつうちの番かと思うと豚舎に行くのが怖い」との声が。
都農支部の黒木裕二支部長は、牛舎に敷くのこくずを製造販売する関連業者。「もうどうしていいか分からない。4月20日から工場の機械は止まったまま。一番大きい取引先の牧場の牛が殺処分された。のこくずを製造する機械の支払いなどがあり、来月はどうにもならない。従業員の給料と社会保険料は何とか維持してやりたいが…」と頭を抱えています。
資金を確保するため、宮崎県の「口蹄疫緊急対策貸付」を借り入れるとともに、既往借入金の返済を猶予し、半年先を見込んだ資金計画を立てることにしました。
「いっぺんに封じ込めて」
黒木支部長は「消毒や防疫対策が後手後手。人災だ。国に早急な対策を求めたい。人不足と埋却地不足で、感染している家畜を殺処分できず、ますます感染が広がる。風評被害も怖い。現に、県外の業者から宮崎から来るなと言われている。いっぺんに封じ込めてほしい」といら立ちを隠せません。
下請け業者も収入絶たれる
口蹄疫発生で都農町の食肉加工工場や日向最大手の食肉加工工場の操業がストップ。そこで働くパート労働者や下請け業者は収入が絶たれています。
一方、日向市で牛を飼っている民商会員は「今月の競り市で子牛2頭を出す予定じゃったけど、競り市が中止になって収入のあてが外れ、飼料代がかさんで大変じゃ」と話していました。
都農・川南支部は早急に県へ申し入れ、殺処分された牛や豚への補償とともに、出荷停止による損害補てん、家畜関連中小業者への援助、「宮崎県口蹄疫緊急対策貸付」の保証料と利子補給などを求めていくことにしています。
(注)口蹄疫=牛や豚などにかかる伝染病で、口や蹄に水ぶくれができるのが特徴。発熱や多量のよだれを流し、食欲がなくなります。人には感染しませんが、発生した家畜は殺処分されます。
仁比聡平参院議員と懇談した口蹄疫問題意見交換会
県連が意見交換会
共産党 仁比参院議員と懇談
宮崎県商工団体連合会(県連)は12日、口蹄疫問題で日本共産党の仁比聡平参院議員と意見交換会を開きました。
民商会員を含む被害関連業者6人が参加。実態を報告し、国に関連業者への直接補償を求めることなどを要望しました。
仁比議員は「国会はもちろんのこと、宮崎で何ができるかを皆さんと一緒に考え、取り組みを強めましょう」と答えました。
口蹄疫が発生してから、畜産農家をはじめ、牛舎と取引しているのこくずや食肉卸・小売、飲食業者、広くは清掃や鉄工業者までが、売り上げ激減と深刻な事態に直面しています。
意見交換会では、畜産業者は「たとえ全額補償をしてもらっても、その後の再生には相当の費用と時間がかかる」と話し、のこくず業者は「口蹄疫が発生してから一度も牛舎に納めることができない」など悲痛な思いが打ち明けられました。
赤松広隆農水相は10日に来県し、「処分家畜の全額国補償」を表明したものの、関連業者の補償は一切触れていません。また、県は「口蹄疫緊急対策貸付」を創設しましたが、返済の見通しが立たない業者は、借り入れに慎重です。
県連では早急に直接補償や緊急融資の改善などを求め、県に申し入れることにしています。
県「緊急対策貸付」創設
金融相談窓口も設置
宮崎県は4月28日、「口蹄疫緊急対策貸付」を創設しました。要件は次のとおり。
対象は(1)宮崎県内で生産される畜産物(口蹄疫の影響を受けているものに限る)を主に取り扱う、食料品製造、道路貨物運送、倉庫、卸売、小売、飲食店、と畜場を営む中小企業者および組合(2)口蹄疫の影響により、最近1カ月間の平均売上高等がそれ以前の1カ月間またはは前年同期より減少している中小企業者及び組合(農林水産、金融などを除く)
融資限度額は5000万円(運転資金)、融資期間10年(うち据置2年)以内、融資利率は年1・5%〜年2・2%、保証料率 原則年0・45%、担保は必要に応じて。
また、「中小企業特別金融相談窓口」を設置しました。
商工政策課金融対策室 Tel0985・26・7097
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