チリ巨大地震の津波被害で被災会員救済に全力
南米チリで2月27日午前3時34分(日本時間同日午後3時34分)ごろに発生した巨大地震(M8・8)に伴う津波が日本列島を襲い、東北地方などで被害が出ました。宮城・気仙沼民主商工会(民商)や岩手・陸前高田民商では被害にあった会員の状況を調べ、要求をまとめています。陸前高田市は緊急対策を打ち出しました。
復旧費用など補助
岩手県睦前高田市 民商など要求で

津波が観測され被害も出た睦前高田市の広田湾(提供、日本共産党藤倉泰治睦前高田市議)
陸前高田市の中里長門市長が4日、市議会で発表した緊急対策は(1)廃プラスチックやカキの廃材撤去費用を市が全額補助する。(2)復旧にかかる資材などの費用を2分の1程度補助する‐などです。3500万円の補正予算を提案し、歓迎の声が上がっています。
岩手県では三陸海岸宮古市以南で養殖施設の破損・流出などで過去最大規模の被害になる恐れがあります。陸前高田民商会員で、広田湾漁協のSさんは「8割以上が被害に。個人ではどうしようもない。激甚災害に指定して破損施設の撤去・普及費用を公費で補助してほしい」と訴えていました。
今回、特に被害が大きかったのは陸前高田市の広田湾、小友海区と米崎海区です。チリに向かって口を開けているような位置にあり、奥が深い湾のため、津波は小さな湾の中で上下運動含め、四方八方にぶつかるなど複雑な動きに。いかだなどの養殖施設は壊滅的な被害を受けました。
この影響で夏の出荷を待つホタテやホヤ、秋のカキなどのいかだが海中で団子状態に。
養殖業者は水揚げ共済や施設共済などに加入しているものの、被害に遭った対価のみの保障で、いかだの移動などは対象外。また、水揚げの少ない人は掛け金が払えず共済に加入していません。
民商では、津波直後からこの地域の会員を訪問し、状況確認とともに、市に対策を求めていました。
床上浸水70センチも
宮城県気仙沼市 養殖業に被害
宮城県気仙沼市では2月28日午後2時半過ぎに第1波の津波(30センチ)が観測され、魚市場周辺が冠水しました。
午前9時半に気象庁は「大津波警報」を発令し、沿岸住民1万5000人に避難指示を出しました。
汐見町のKさん=鉄工=は「大津波警報発令」に、すぐトラックなどの車両を高台に移動。非常食を準備し家族4人で友人宅に避難しました。
夜10時過ぎ、津波注意報が解除されて帰宅すると「工場では70センチくらいまで、水が流れ込んだ跡があった。今回は津波警報が出てから間があったけれど、急に来たらどうなっていただろう」と妻・Sさん。同じ町内のSさん=仕出し=は「風呂釜が水につかったので、修理してもらう」と話していました。
午後3時ごろには第2波が襲い、床上浸水の被害を受けた魚町のYさん=スナック=の自宅は玄関内の壁板65センチに水位の跡がくっきり。「5分ほどの間に水が押し寄せ、1階の居間にあっという間に水が入り、畳が浮き始めた。冷蔵庫も洗濯機も水につかり、動かない」と床を洗い流していました。
岩井崎海岸で養殖を営むHさんは「内湾で、45メートルのワカメとホタテの養殖棚4台が津波で絡まり、来年用のホタテの稚貝もすべてダメに。今年のワカメもまだ4割くらい残っていたのに」と肩を落としていました。
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