全国商工新聞 第3391号2019年12月23日付
政府は「消費税は原材料、メーカー、卸売り、小売り、と次々に転嫁し、最終的に消費者が負担する間接税」と説明していますが。これはごまかしです。
消費税法には価格転嫁を保証する規定も、消費者が事業者に預ける規定も、事業者が預かる義務もありません。規定されているのは、事業者が納める税金ということだけです。
消費者は消費税を負担しているのではなく、物価として負担しています。このことは、裁判所の判決でも確定しています(平成2年3月26日東京地裁判決)。
これはトヨタと仕入先や下請けとの関係でも同じです。仕入先がトヨタに請求した一個一個の取引にかかる消費税が税務署に納められると錯覚している向きがありますが、トヨタが仕入れ先に払った消費税分と、仕入れ先が税務署に払う消費税とは全く関係がありません。それなのにトヨタなどが税務署に払ったものとして還付金を受けるのは、仕入先や下請けが払った税金を「横取り」しているといってもいいでしょう。
中小企業でも、自社製品を輸出すれば還付金がもらえます。還付金をもらっている私の知り合いの中小企業の社長さんは「ありがたいですね。でも、あれって輸出補助金ですよね」と本音をもらしていました。輸出還付金は、中小企業に対しても大企業に対しても不公平な税制であることに変わりません。
EU委員会は2017年4月、輸出還付金制度の見直しを提案しました。不正に還付金を受け取る例が後を絶たず、1700億ユーロ(約22兆円)の歳入漏れがあり、詐取した還付金が国際的なテロ組織に流れているというのです。詐欺行為は偶発的ではなく、付加価値税の仕組みそのものに欠陥があるとして、2022年中に輸出還付金制度を廃止する方向です(EU加盟国間に限り)。