消費税輸出還付金のカラクリ(上)
なぜ“ゼロ税率”なのか

全国商工新聞 第3390号2019年12月16日付

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 消費税の輸出還付金制度に疑問の声が寄せられています。「仕入れ税額控除」方式のトリックや輸出還付金制度がなぜ導入されたのか、大企業は本当に消費税を払っていないのか、湖東京至税理士が2回に分けて解説します。

─輸出還付金が発生するのは「大企業が悪いのではなく、仕組みがそうなっているから」との声がありますが…。

 政府や輸出還付金制度を肯定する論者は、「外国の消費者から日本の消費税はもらえず、仕入れにかかる消費税を返さなければ、輸出企業は損をするので還付する」と主張します。
 しかし、この説明は、とんでもないトリックがあります。自国の間接税を外国の消費者に負担させない(仕向地主義)ことは国際的なルールと認めても、間接税であるアメリカの小売売上税や日本の旧物品税は、免税措置を受けるものの還付金は発生しません。消費税だけが還付金がもらえるのは輸出売り上げをただの免税ではなく、輸出売り上げにゼロ税率で課税しているからです。そして消費税の「仕入税額控除方式」を使って還付金がもらえるようにしているのです。

─なぜ、還付金制度が導入されたのですか。

 輸出還付金制度は1948年、フランスで採用された仕組みです。
 当時のフランスには「製造業者売上税」(税率10%)というメーカーだけが納める税金があり、「なぜ俺たちだけが納めるんだ」と不満がありました。メーカー側は納入業者に払わせることを要求し、その税金分を自分たちが納める税金から控除するように働き掛けました。
 フランス政府は1948年9月、メーカー側の要求どおり、仕入れに含まれる税金を控除する仕組みを導入。それが、仕入税額控除方式の原型です。併せてメーカー側は輸出売り上げに対する還付金制度を導入させたのです。
 その後、「付加価値税」(消費税と同じ仕組み)を導入したときも、仕入税額控除の仕組みを引き継いだのです。狙いはメーカー・大企業の納税額を減らすため。日本もその仕組みにならっているのです。

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