どうなる複数税率・インボイスの実務(7)

全国商工新聞 第3383号2019年10月28日付

キャッシュレス還元の経理方法

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 2020年6月まで、現金以外の方法(クレジットカードや交通系マネー)で決済した場合に、キャッシュレス還元がされています。
 経理方法に少し特徴がありますので、紹介します。クレジットカードや交通系マネーは即時値引きされるという特徴があります。
 まずは、キャッシュレス還元を考えないで仕訳をして、追加処理としてキャッシュレス還元分の処理を行います。なお、消費税の税率区分は、図の例ですと、コーヒー代が軽減税率8%、本代が10%、雑収入が不課税売り上げとなります。お店と購入者の関係はあくまで商品代金だけです。キャッシュレス還元は国からの補助金のようなものと考えます。
 このように複雑な経理処理が必要となります。事業者の事務負担が多くなることは制度導入前から懸念されていましたが、想定を超える煩雑さです。経産省の最初の予定と異なり、実態はポイント還元ではなく単なる値引き同様の扱いとなっていますが、決済事業者によって取り扱いが異なる場合もあります。
 弱者に負担を押し付けるのが軽減税率の本質です。たったの9カ月のまき餌にだまされてはいけません。

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