どうなる複数税率・インボイスの実務(6)

全国商工新聞 第3382号2019年10月21日付

税額計算の特例(2) 仕入れ税額の計算の特例

 雑貨の小売り(10%)と飲食の小売り(8%)を行っている事業者は基準期間の課税売り上げが5000万円以下で、売り上げは消費税の区分ができるが、仕入れは区分が困難な場合、二つの仕入れ税額計算の特例が認められています。
 (1)売り上げを税率ごとに管理できる卸売業・小売業者(簡易課税適用者は除く)は、区分ができている売り上げをもとに、区分ができない仕入れの8%と10%の内訳を概算により求めます(小売等軽減売上割合と呼ばれます)。計算方法(表1)、具体例は次の通りです(表2 10月~12月の売り上げ・仕入れ、税込み額)。

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 これを上の式に当てはめると、216万÷293万(216万+77万)が小売等軽減売上割合Aとなります。110万×A=81万921円(小数点切り捨て)が8%(軽減税率分)の課税仕入額となり、110万-81万921=28万9079円が10%の課税仕入額となります。
 (2)(1)の特例を適用する事業者以外の中小事業者は、簡易課税を選択することができます。簡易課税の選択は、本来課税期間開始の日の前日(個人事業主の場合、2019年に簡易課税を使おうとすれば18年12月31日)までに届け出をしなくてはなりませんが、今年は12月31日までに届け出をすれば簡易課税制度を選択することができます。
 簡易課税制度については次回に改めてお知らせします。

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