全国商工新聞 第3384号2019年11月4日付
前回までの話で、複数税率がとても複雑なことが分かっていただけたと思います。
本号と次号で具体的に消費税額を計算してみます。本号では、まず簡易課税の計算を行います(表)。1種類の事業のみを営む事業者を例に挙げ、業種区分は製造業や建設業などの第3種を前提としました。
最も重要なのは、1月から9月までの売り上げと、10月から増税され、10%となった売り上げを区分して計算することです。
軽減税率の売り上げがある場合には、これに軽減税率分の計算(10月から12月分)を加えて計算を行うということになります。
今回紹介した例は1業種のみで、かつ、軽減税率がないケースであり、最も簡単な例だと思われます。
なお、簡易課税制度を利用するには、原則として課税期間が始まる前まで(例えば2019年分の確定申告でしたら2018年12月31日まで)に簡易課税の選択届を提出しておかなければなりませんが、2019年10月1日から2020年9月30日までの間は特例により、届け出をした年から簡易課税制度を使うことができます。
つまり2019年12月31日までに届け出をすれば2019年分の確定申告から簡易課税制度を使うことができるということになります。
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