消費税 悪税の正体(5) 事業者にも不公平
消費税は事業者にとっても消費者にとっても不公平な税制です。消費税の納税義務者は事業者であることから、事業者は年1回の確定申告(決算)の時には、支払う消費税額を確保する必要があります。
大企業は市場での強い競争力を背景に、「『消費税という名目』での価格の引き上げ」「仕入れ値たたき」「下請け単価の切り下げ」などにより納税資金以上の資金を確保しています。一方、中小業者はその逆の立場に立たされ、売り値の値引き等により納税資金の確保どころか日々の運転資金も不足することになります。
消費者にとっては、消費税は物価の一部ですから、所得の多い者ほど負担が軽く、所得の少ない者ほど重い負担となります。
「所得階層別の消費税の負担額と収入に占める割合」(図)によると、所得1000万円以上の人たちの消費税相当額の負担は40万円を超え、所得400万円未満の人たちの負担は約15万円となっています。金額は多くなっていますが、収入に占める割合で見るとそれぞれ約3.5%、5.5%と、所得の高い人たちの負担率の方が少なくなります。このように消費税は逆進性をその仕組みとして内包しています。
憲法の求めるあるべき税制は「能力に応じた税負担」、所得格差をなくすためにも高所得者からより高い負担率で取り、低所得者からは低い負担率で取る「応能負担」が原則です。また、最低限度の生活を維持するために必要な食料品や生活必需品などには課税するべきではない「最低生活費非課税」が原則です。消費税はこれらの原則に反していることから廃止すべき税制です。
事業者は、納税のために複雑な帳簿の整理や納税事務に人件費が必要となりますが、人件費は消費税の計算上差し引くことはできません。そのため、赤字の場合でも消費税の納税額が発生します。この場合、事業者は家族の生活費を切り詰め、借金をしてでも納税資金を捻出しなければならないことになります。消費税によって生活も営業も破壊されてしまうことになりかねません。
全国商工新聞(2016年5月16日付) |