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消費税 悪税の正体(3) インボイスの問題点(下)
今回は導入が検討されているインボイス(適格請求書)制度について触れます。
適格請求書を発行する事業者は、納税地の税務署長に申請書を提出して税務署長の登録を受けることになります。登録を受けた事業者は請求書等に必ず登録番号を記載する義務が生じます。登録を受けた事業者は、課税売上高が1000万円以下になった場合でも免税事業者にはなれません。登録番号には共通番号(法人番号)の利用が検討されています。
また、免税事業者は登録を受けることはできないことになります。
現在の仕入税額控除の要件は「請求書等及び帳簿書類の保存」ですが、インボイス制度が始まると「適格請求書及び帳簿書類の保存」に変わります。
現在は、要件さえ整っていれば誰が発行した請求書、領収書でも保存があれば仕入税額控除の対象となりますが、インボイス制度になると「登録事業者の番号」が記載されている請求書等だけが仕入税額控除の対象となります。
免税事業者から商品を購入した事業者は、例えその免税事業者が発行した請求書等を保存していても消費税の仕入税額控除の対象にはなりません。
「適格請求書」を発行するには、消費税の課税事業者になること(免税であっても、課税事業者を選択する)しかありませんから、例えば売り上げ880万円の町工場が課税事業者になると、消費税を年間で約32万円納める選択をすることになります。
免税業者の経営・生活が窮することは目に見えています。
全事業者825万件のうち免税義業者は513万件で、取引から排除される道か、消費税課税事業者を選択するのかという、悪魔の選択を迫られることになります。
(佐伯和雅)
全国商工新聞(2016年4月25日付) |
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