消費税 悪税の正体(2) インボイスの問題点(上)
複数税率を採用することになれば、現在の「帳簿方式」では、税率の区分が困難であるとして、現政権は適格請求書等保存方式(インボイス制度)を導入するとしています。
インボイス制度を考える前に、現在の消費税の計算方式で採用されている帳簿方式の問題点について少し触れたいと思います。
事業者が納める消費税額の計算は、原則として1年間の課税売上高に含まれる消費税額から課税仕入高に含まれる消費税額を差引いた額となります。
所得税の申告では、例えば事業所得の金額は、1年間の総収入金額から必要経費を控除した額が所得金額となりますが、消費税の計算方法は、課税標準額(売り上げと考えてください)から課税仕入れにかかる消費税額を控除した金額となっています。消費税法には、帳簿等を保存していないと課税仕入の控除を認めないとする規定があり、課税仕入の控除を適用されないと、課税標準額(売り上げ等)に直接に消費税率を乗じた金額を納付することになります。他の税法にない、消費税の特異性です。
帳簿に記入するのは、課税仕入れの相手方の氏名または名称、年月日、資産または役務の内容および金額、とされています。例えば鮮魚店が帳簿に「築地市場から6万円分を仕入た」との記帳では内容が書いていないため記帳不備となってしまいます。
また、請求書等の保存も義務付けられています。請求書等とは他の事業者から交付される請求書等のことです。請求書には、書類の作成者の氏名、取引の年月日、内容、金額及び書類の交付を受ける事業者の氏名等、が記載されていなければなりません。また、原則7年間保存するとされています。
このように現行の帳簿方式でも問題がありますが、インボイス制度が導入されれば、さらに大きな問題が生ずることになります。
全国商工新聞(2016年4月18日付) |