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  トップページ > 税金のページ > 消費税 > 全国商工新聞 第3211号4月11日付
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消費税 悪税の正体(1) まやかしの「軽減税率」

 安倍首相が来年4月からの消費税10%への引き上げを延期するのではないかとの見方が広がり、与党内からも増税延期の声が上がっています。増税はきっぱり中止を求める国民・中小業者の世論と運動が安倍政権を追い詰めています。そもそも消費税はどんな税制か、なぜ滞納が増えるのか、社会保障のために必要な税制か、あるべき税制の姿とは何か、消費税の問題を徹底分析する連載をスタートします。担当するのは税経新人会の奥津年弘、青野友信、佐伯和雅の各税理士です。

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 「軽減」とは、「負担・苦痛などを減らして軽くすること」ですが、安倍政権が進めている食料品への消費税の「軽減税率」は、国民にも、中小業者にも、減らず、軽くならず、逆に負担が増える恐れがあります。国民の負担は1世帯当たり6万2000円増加すると試算されています。

複数税率で業者はどうなる
 表の「パターン(1)」は、消費税負担増の転嫁が困難な中小業者が取る行動を予想したものです。売り上げ、仕入れに対する消費税が8%に据え置かれ、わずかな値上げでもお客さんが減ることから売り値は変えられません。他方、家賃や水道光熱費は10%に増税されますので、その結果、差し引き利益金額は620から590に減少します。
 表の「パターン(2)」は、消費税の転嫁が容易な大企業が取る行動を予想しました。諸経費が値上がりすることからその分を売り値に上乗せします。結果、差し引き利益金額は6200で変わりません。
 では、なぜ大企業は軽減税率を望むのでしょうか。税務署に支払う消費税額が1200から922に減り、もうけが278増えるからです。売り上げ108億円の大企業では消費税の納税額が2億7800万円減り、その分の利益が増えるのです。
 中小業者の場合も、消費税の課税事業者で簡易課税を選択しなければ納付する消費税額が30減ることになり、差し引き利益は同じですが、机上の話です。消費税が持つ魔性「強いものを手助けし、弱いものをくじく」がここにも表れます。

複数税率で国民負担は「軽減」されるのか?
 パターン(1)の零細業者から野菜を買った国民は、この野菜の負担は変わりません。パターン(2)の大手スーパーで野菜を買った国民は300高く買うことになりますが、その分は国庫に入らず、その大企業のもうけの一部となります。
 軽減税率が導入されると、国に入る消費税収が1兆400億円減るといわれていますが、その大半は大企業が国に納める消費税額が減ることによるものです。輸出免税と同じような仕組みが、もう一つできることになります。(佐伯和雅)

全国商工新聞(2016年4月11日付)
 

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