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消費税10%中止しかない 中小企業に大打撃
喜ぶのは輸出大企業だけ
大阪経済大学客員教授・岩本沙弓
今や世界140の国と地域で採用されている消費税・付加価値税を唯一導入していないのが米国である(米国の小売売上税は消費税・付加価値税とは全く別物)。米上院委員会、米財務省、大統領の諮問委員会などは不採用の理由として、消費税・付加価値税は輸出企業を優遇する不公平税制である点を上げている。
消費税は価格に埋没するため転嫁は生産、流通、消費どの段階でも実質不可能である。転嫁が完璧にできなければ、納税者である事業主への負担が大きくなる。企業数で99・7%、従業員数で7割を占める日本経済の屋台骨である中小零細企業を廃業、破綻へと追い込む恐れがある一方で、特定企業を優遇するような不公平税制を認めるわけにはいかない。さらに、米国が日本の消費税を非関税障壁と見ている以上、増税後は日米通商交渉の先行きも懸念される。消費税増税は日本の輸出企業へ補助金を与え、自国企業の優遇策に邁進していると米国は受け止めるはずで、米公文書によると、消費税増税と法人税減税をセットで行うなら、報復措置も辞さないとしている。
国民は増税による物価高で、内需を支える中小零細事業者は増税で、さらにそこへ外圧が押し寄せれば二重三重にも日本経済は打撃を受ける。内需を疲弊させ、国民の所得を奪った結果、格差が広がり社会不安が露呈してきた二十数年が消費税25年の歴史と重なるのであれば、消費税を廃止してその払拭に努めるべきであろう。
全国商工新聞(2014年11月3日付) |
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