消費税・過半数転嫁できず 仕入れ高騰と二重苦=静岡
静岡県商工団体連合会(県連)は2日、消費税8%後の緊急影響調査アンケートについて、静岡市記者クラブで記者会見を開いて結果を発表しました。消費税増税で売り上げ・利益が減少し営業と生活に大きな打撃を与えていること、消費税率10%を強行すれば県内の多くの中小業者が倒産、廃業に追い込まれる実態が明らかになりました。「静岡」「朝日」「毎日」の3紙が取材しました。
緊急影響調査アンケートは7〜8月にかけて行ったもので、663人の回答が寄せられました。杉本護県連事務局長が調査結果を説明。4月以降、経費が上昇した業者が72.7%に上り、消費税転嫁では56.3%の業者がまともに転嫁できていないと明らかにしました。
料飲業厳しい
業種別では転嫁できていないのは料理・飲食が51.4%に上り、理美容などのサービスで35.7%と平均を大きく上回っています。また、売り上げと利益が減少しているのはどちらも50%以上と半数を超え、卸小売、料理飲食ではどちらも68%台と、7割近い業者に影響が出ている結果などを示しました。
その上で、「これ以上の消費税増税はきっぱりやめること。そのことが最大の景気対策になる」と強調しました。
役員が自身の商売に触れ実態を報告。大石秀之県連会長は「自動車修理・販売を長い間しているが、3〜4月は驚くほど駆け込み需要があり、カタログをほしいと言ってくる人も多かった。しかし、4月以降は生産が間に合わなかった分のずれ込みがあっただけで今はまったく売れない。第2創業を考えたり、銀行の営業とも話をしたりするが打開策が全く見えない」と訴え。西野雅好副会長は「単価の安い通信販売の木製品を作っているが、高額商品はサンプルぐらいの仕事しか回ってこないし、材料値上りが経営を圧迫している。店舗用の家具を作っている民商の仲間は4月から一つも仕事がなく廃業してしまった」と告発。左口博望副会長は「消費税が導入された時からずっと消費税を納めている。新築の仕事はほとんどなく、リフォームに移行しているが、国の住宅リフォーム助成制度は登録業者でないと仕事が取れず中小零細業者の実態には即していない」と話しました。
10%で廃業も
記者からは「この間実際に廃業した業者はどういう業種か」との質問があり、「年金をつぎ込んで商売を続けてきたが、8%になってこの先10%になったらとてももたないと廃業を決めた人もいる」など説明しました。
全国商工新聞(2014年10月20日付) |