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  トップページ > 税金のページ > 消費税 > 全国商工新聞 第3120号5月26日付
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消費税還付金24年間で47兆円 大半が輸出企業に

 消費税導入(1989年)以降、24年間の還付金の総額が47兆円に上ることが、元静岡大学教授の湖東京至税理士の調査で初めて分かりました。本年度の政府予算の国税収入に匹敵する還付金の大半が、一部の輸出大企業に渡っています。下請け単価をたたき、実質的に消費税負担をしていない輸出大企業への還付金は事実上のリベート。税率が上がるほど還付金は増え、転嫁できない中小業者との不公平が広がります。

グラフ=消費税導入以来の還付金の総額は47兆円!

庶民への負担増に理なし

 消費税の還付金が47兆4149億円にも(グラフ)―。これは消費税が導入された89年から2012年までの24年間の総額です。消費税の納税申告額のほぼ2割に達します。税率が5%に上がった97年には前年比で額が倍に膨らみました。
 国税庁の資料によると、輸出大企業を含む「売上階級10億円超の法人」が受け取った還付金は、11年度は140社で1兆8463億円、12年度は139社で1兆7225億円に上り、両年度とも総額の9割に及びます。湖東京至税理士の推算(表)と照らし合わせると、各事業年度において輸出大企業の主要20社が大半を占めていることが分ります。

表=各事業年度における輸出大企業・主要20社の還付金の推算

 還付金総額47兆円の大半が、ごく一部の輸出大企業に渡ったとみられます。
 89年からの24年間における法人税減収額は231兆円に上り、還付金総額47兆円を合わせると278兆円になります。この額は、同期間の消費税収の累計額250兆円を大きく上回っています。
 大企業への法人税減税と消費税還付金を大盤振る舞いする一方、国民には社会保障制度改悪や所得税控除の縮小・廃止などの庶民増税を押し付けるなど言語道断です。
 輸出大企業は下請け単価をたたくことで事実上、消費税負担を下請け業者に押し付け、下請け業者が払った消費税を還付金(事実上のリベート)として享受してきました。
 すでに「消費税増税(8%)に合わせて、親会社から5%の値下げ要請があった。拒否したら、少しずつ発注を減らされ取引停止となった」(岡山・製造「営業動向調査14年3月調査より」)など消費税をめぐる不公正取引が広がっています。
 安倍政権は消費税10%の実施とともに、さらなる法人実効税率の引き下げや所得税の配偶者控除の縮小・廃止、公益法人への課税強化などの検討を始めています。
 「力の弱い者から徴収し、力の強い者につぎ込む」―。安倍政権の税制改悪に対して、今こそ「消費税の増税阻止」「5%に戻せ」の怒りの声と署名・宣伝行動を大きく広げる時です。

最大の不公平 消費税は廃止を
税理士 湖東京至さん

 消費税の還付金の総額が47兆円であることが分かった。これは驚くべき金額である。
 私の推算ではトヨタ自動車が最も多くの還付金を受け取っている。その額は、税率が5%に上がった1997〜2012年の16年間だけでも3兆773億円に上る。
 そもそも輸出大企業が下請け業者に支払ったとされる消費税は、税金ではなく「物価の一部」と法律的には解釈されている(平成2年3月26日・東京地裁判決)。実際の経済取引では、価格決定権を持っている輸出大企業の消費税分の値引き要請に、下請け業者は応じざるを得ず、消費税分を請求書に書いたとしても、元の価格が下げられていれば消費税をもらったことにはならない。請求書の消費税分はあくまでも「物価の一部」にすぎない。下請け業者は転嫁できない消費税をたとえ赤字でも納めなければならないことになる。
 輸出大企業が本来、納税しなければならない国内販売に係る消費税は、還付金と相殺され、税務署に納付されていない。輸出大企業は実質的に払ってもいない消費税(下請け業者などが払った消費税)を税務署からもらっていることになる。還付金は税制に名を借りたリベートである。消費税最大の不公平のゆえんである。
 消費税は廃止しなければならない。そのための財源は、消費税の税収分を大企業を対象にした法人事業税の付加価値割に移行することで賄える。

全国商工新聞(2014年5月26日付)
 

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