影響甚大 消費税4月増税
消費増税 4割が転嫁に懸念 中小企業調査
東京商工会議所は2月25日、消費税率の引き上げに伴う価格転嫁についての調査結果を公表しました。「すべて転嫁できる」と回答した企業は59.2%にとどまり、「一部しか転嫁できない」の13.8%、「ほとんど転嫁できない」の7.4%、「分からない」の18.9%を合せた約4割の企業が価格転嫁に懸念を残す結果となりました。
業種別には「小売業」は「すべて転嫁できる」企業が53.6%にとどまり、また「一部しか転嫁できない」企業が19.6%と全体平均13.8%よりも高くなっています。サービス業の詳細をみると、「すべて転嫁できる」と回答する割合は、「飲食業」が36.8%、「個人向けサービス業」が50.0%などの対消費者向けの取引の業種では低く、より価格転嫁の見込みが厳しい結果となっています。
規模別には「すべて転嫁できる」と回答した企業は従業員数「5人以下」では53.6%と全体平均59.2%よりも低く、小規模企業の方が価格転嫁への懸念が高いのが特徴です。
消費税率の引き上げに伴う課題については、「レジ、経理ソフト等、システム変更に伴う費用負担」の30.1%が最も高く、次いで「帳簿処理の切り替え」の26.3%、「請求書・領収書の切り替え」の25.2%となっています。
自由記述欄には「増税により(資金繰りが)さらに悪化することを懸念している」「年末に大手量販店から5.2%の値引き要請があった(消費税増税を踏まえて、4月に要請がしにくいための対策と思われる)」「免税事業者となる要件を、課税売上高2000万円以下に引き上げてほしい」など4月増税を前に切実な声が寄せられています。
調査は、会員中小企業・小規模事業者(「製造」「建設」「卸売」「小売」「サービス」の5業種、5000社)を対象に、1月に実施し、937社から回答がありました。
消費増税 転嫁0%なら赤字転落 小売・サービス業
帝国データバンクは2月20日、4月からの消費税増税が小売・サービス6業種に与える影響度を分析し、発表しました。これによると、消費税の増税分を価格に転嫁できなかった場合(価格転嫁率0%)は、全業種で営業赤字に転落すると予測し、「その影響度は企業にとって決して小さくない。価格転嫁できない場合、販管費などの圧縮で収益性を改善する必要があるが、企業側にその余力が残っているかは疑問が残る」と指摘しています。
増税分の50%を価格に転嫁した場合でも企業負担の増加や消費の減退により、「自動車小売」「菓子・パン小売」「外食(酒場等除く)」「酒場等」「婦人・子供服小売」の5業種が営業赤字に転落すると分析。「男子服小売」ではわずかに黒字確保は可能なものの、大幅に営業利益が減少することになります。
増税分の100%を価格に転嫁した場合、営業赤字になる業種はありませんでしたが、「外食(酒場等除く)」では営業利益が5分の1に減少するとの結果が出ています。
この分析は「全国企業財務諸表分析統計」などをもとに実施したものです。
全国商工新聞(2014年3月17日付) |