消費増税反対54％　商店街アンケート

　「消費税が増税になれば小さい商店はつぶされてしまう」―。全国商工新聞は5月9日、東京都杉並区の商店街で消費税増税についてのアンケート調査を行いました。商店主から消費税に苦しむ切実な声が寄せられ、増税に「反対」は53・7％。過半数を超える人たちが増税中止を求めています。

「どちらでもない」30・9％　本音は「上げてほしくない」

買い物客でにぎわう阿佐谷パールセンター商店街

　アンケート調査を行ったのはＪＲ阿佐ケ谷駅前にある「阿佐谷パールセンター商店街」。生鮮三品のほかに飲食や菓子、雑貨、理美容室などさまざまな商店がアーケード内に軒を連ね、にぎわっています。123人から回答を得ました。
　アンケート調査では消費税増税に「反対」が53・7％で、「賛成」は15・4％にとどまりました。「反対」の理由は「顧客の減少」「売り上げ減少」「景気の後退」「コスト増」など。食料品店を経営する70代の男性は「増税は絶対にやめてほしい。税率が上がったら店は続けられない。アベノミクスといっているけど、もうかっているのは大企業と投資家だけ。われわれは何の恩恵も受けていない」と怒りをぶつけました。
　一方、今回の調査では「どちらでもない」が30・9％を占めました。「本音は増税に反対だけど、決まったことだし、仕方ない」（クリーニング店・60代男性）、「増税はしてほしくないけど、国の財政難を考えると…」（ブティック・60代女性）と迷いながら回答する姿が目立ちました。「賛成」の理由は「社会保障のため」「国の財政が大変」「決まったことだから」など。
　中には「賛成したくないけれど、政治が決めたから」という声もありました。

身銭切る実態鮮明

　消費税が転嫁できるかの問いには「できる」が54・0％に対して「部分的にできる」9・7％、「できない」36・3％を合わせて4割を超える人たちが転嫁できずに身銭を切っている実態が明らかになりました。
　「転嫁できない理由」は「割引の日しかお客が来ないのに、転嫁するとさらに来なくなる」（クリーニング店・80代女性）、「お客さんの負担を考えると転嫁できない」（生花店・30代男性）、「チェーン店ではうちの仕入れより安い値段で売っているので、値上げはできない」（薬店・60代男性）など転嫁したくてもできない実態がうかがえました。

政治への批判噴出
　「政治へのひとこと」では、「大企業ばかりが優遇され、中小企業は苦しい。景気回復は実感できず、私たちまで回ってこない。税金は金持ちから取ってほしい。税金のために働いている感じ」（ブティック・60代女性）、「景気対策をしっかりやってほしい。景気回復の実感はない。子どもたちの将来が不安」（薬局・60代女性）などの声が寄せられました。
　また、「アベノミクス」に対して「株高の影響で高級な酒が売れている」などの声が一部で聞かれるものの、「物価を2％上げるというが、もっと上がっている。給与は上がらない。さらなる負担増を感じる。景気が回復しているのは大企業だけ。実感できない、小売りは大変」（酒販店・40代女性）、「実態はほとんど変わらない。アベノミクスに踊らされているのではないか。バブルのときのような思いはしたくない」（喫茶店・60代男性）など批判の声が相次ぎました。
　政府は来年4月から税率を8％に引き上げるかどうかを今年10月に最終判断する考えを示しています。7月の参議院選挙でその是非が問われます。

改憲論議浸透せず
　安倍首相が参議院選挙の争点しようとしている改憲の問題では、憲法を変えることに「賛成」はわずか13・1％。「反対」が30・1％、「分からない」が54・5％と過半数を超えています。憲法改定の発議要件を緩和する96条改定を含め、改憲問題が世論に浸透していないことが明らかになりました。

　▽調査の概要と結果
　杉並民主商工会の協力を得て、阿佐谷パールセンター商店街などで聞き取り調査を行った。質問項目と回答人数は次の通り。

1、消費税の引き上げに賛成ですか？
イ、賛成19、ロ、反対66　ハ、どちらでもない38
（1）賛成と答えた人は、その理由は何ですか？
（複数回答可）
イ、社会保障の財源のため10　ロ、国の財政が心配7　ハ、決まったことだから4　ニ、その他3
（2）反対と答えた人は、その理由は何ですか？
（複数回答可）
イ、顧客の減少34　ロ、売り上げ減少36　ハ、景気の後退23　ニ、コスト増14　ホ、転嫁できない8　へ、納税できない5　ト、その他52
2、現在、消費税を販売価格に転嫁（上乗せ）できますか？
イ、できる61　ロ、部分的にできる11　ハ、できない41
3、安倍首相は憲法を変えようしていますが、どう思いますか？
イ、賛成16　ロ、反対37　ハ、分からない67
4、政治に対して言いたいこと。