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  トップページ > 税金のページ > 消費税 > 全国商工新聞 第3014号 3月12日付
 
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全商連会長 国会で意見陳述 消費税増税やめるべき!

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衆院予算委員会で陳述する全商連の国分会長

 全国商工団体連合会(全商連)の国分稔会長は2月27日、衆議院予算委員会に参考人として出席、日本経済と営業を破壊する消費税増税に反対する意見陳述を行いました。

 国分会長は「日本のものづくりを担う中小業者が崩壊の危機にひんしている」とし、全商連のヒアリングでも「どの業者も消費税増税はやめてほしい」と声を上げていることを紹介。
 「景気を底から冷やす」「中小業者は価格に転嫁できない」「輸出大企業に徹底して有利」「リストラを促進する」など消費税増税に反対する理由を述べました。
 その上で、中小業者が求める税制について「生活費非課税と応能負担」とし、「担税力のある大企業、大資産家に応分の負担を求めるべきだ」と強調しました。また、政府が閣議決定した「中小企業憲章」の理念に基づく政策の発展を図ることを求めました。
 質疑では、自民党、共産党、新党きづな、国民新党の各党議員の質問に答えました。


衆院予算委員会・参考人質疑での国分会長の意見陳述(要旨)
「応能負担の税制」「中小企業発展の政策」強く要求

 全国商工団体連合会(全商連)の国分稔会長は2月27日、衆院予算委員会に参考人として出席しました。円高・デフレによる売上減と資金繰りに苦しむ中小業者の実態を訴えました。「価格に転嫁できない」など消費税の害悪を上げ、増税に断固反対を力強く表明しました。意見陳述の内容(要旨)を紹介します。

切実な相談が3万件

 私は創立61年目を迎えた全商連の会長です。全国の582民主商工会の全国組織で、20万人を超える中小業者が加入しています。
 私は、東京で50年来、金属加工業を営んでいますが、ものづくりを担う中小企業の仕事が激減しています。後継者難で、せっかく身に付けた高度な技術を継承できない状況が広がり、私の周りでも、ネットワークが崩壊の危機に直面しています。
 私たちの組織には、毎年3万件を超える相談が寄せられます。歴史的な円高とデフレ不況で厳しさを増す中小業者の実態と切実な要望について述べます。
 工業集積地の東大阪市では、異常な円高で仕事は激減しているのに「前年同月比で赤字という理由だけで融資を断られ、借り換えもできない」との相談が後を絶ちません。「金融円滑化法を恒久化してほしい」との声が寄せられています。
 横浜の精密機械加工業者は、社会保険料の延滞金に苦しんでいます。従業員17人を雇い、中国と取引をしていますが、単価が厳しく毎月の売り上げが足りない。しかし従業員のために社会保険料を分割で払っています。「雇用維持のため、せめて14・6%の延滞金を何とかしてほしい」と痛切な声を上げています。
 東京・大田区の製造業者は「円高で、取引先が海外に進出し、発注が減少する話ばかり」と言います。
 為替を実態経済に見合って安定させ、長期の生産見通しが持てるようにする必要があります。
 これら、どの業者も口をそろえて「消費税増税をやめてほしい」と言っています。

価格に転嫁できない

 そこで私は、消費税増税に反対する理由を4点述べます。
 一つは、景気を底から冷やすからです。
 福岡県商工団体連合会の調査では「商売だけでは生活できない」が65%を超えています。アルバイトを掛け持ちし、必死で暮らしています。消費税率が上がれば、買い控えが起こり、物は売れず、家は建ちません。
 また、乱売合戦で、中小企業の大量倒産を招きます。97年の消費税率引き上げと医療改悪による9兆円もの負担増の結果で実証済みです。
 二つ目は、取引の力関係で、多くの中小業者が価格に転嫁できず、営業を破壊するということです。
 従業員12人、年間売上高1億円以上の都内の弁当店は「いま、300円の弁当が出回り始めた。デフレ時代で売り上げは減るばかり。買ってもらうために中身を充実すれば、ますます利益が出なくなる。厳しい価格競争で、値上げができない。消費税が倍になったら払えるはずがない」と言います。この方は、財産処分して赤字分をやりくりしています。
 消費税分を上回る単価引き下げを迫られる下請け製造業者や建設業者の苦労はなおさらです。全商連付属・中小商工業研究所の「営業動向調査」(昨年9月)でも、「値引き強要がある」との回答が79%に上っています。
 消費税は事業者が納める税金と消費税法第5条に明記されています。消費者に納税義務は課されていません。政府は転嫁対策と言いますが、そもそも価格競争や経費削減を企業にやめろとは言えず、消費者に「値切ってはいけません」とは絶対に言えません。
 また、事業者の納税義務には何の見返りもない膨大な納税協力の実務が伴います。税務当局が一方的に記帳や請求書保存に不備があると判断すれば、売り上げの5%をまるまる課税する仕組みが設けられています。
 結局、弱い者に犠牲を強いる消費税の本質は、導入から23年間、変わっていません。

巨額還付金を是正し

 三つ目は、輸出大企業に徹底して有利な税制だからです。
 輸出大企業は「輸出戻し税」という巨額の還付金をもらっています。湖東京至税理士の試算によれば、年間の還付額は上位10社で8698億円に上ります。10年度の還付金の合計は3兆3762億円と消費税収全体のおよそ28%に相当し、例えば、トヨタ自動車の還付額は、最近5年間で1兆3000億円に上ると指摘されています。
 政府がいうように「消費税が社会保障のために使われる」なら、輸出大企業は社会保障財源から還付金を受け取ることになります。
 消費税が10%になれば、中小業者の納税が倍になる一方で、輸出大企業の懐には2倍の還付金が入ります。この仕組み自体を是正しなければなりません。
 四つ目は、リストラを促進し、若者の将来に悪影響を与えるからです。
 消費税は売り上げに掛かる消費税から、仕入れや経費に掛かった消費税を差し引いて納税します。人件費を派遣など外注化すれば、仕入税額が控除され納税額を押さえられます。
 派遣労働が野放しにされる労働法制の改悪が繰り返される中、非正規労働者が全労働者の3分の1に達しています。消費税増税の強行で、さらに多くの労働者を非正規労働に追い込みます。「リストラ促進税制」ともいえる消費税増税で労働者、とりわけ未来ある若者たちに劣悪な労働条件を押しつけるべきではありません。
 以上、消費税増税に反対する理由です。
 最後に、中小業者が望む税制や経済政策をを述べます。
 一つは、消費税に頼らない税制です。生活費非課税や応能負担という民主的な税制に切り替えることです。法人税率の引き下げや、研究開発減税などの租税特別措置が、大企業の内部留保を膨らませてきました。担税力のある大企業や大資産家に応分の負担を求めるべきです。
 もう一つは、政府が閣議決定した「中小企業憲章」に基づく政策の発展を図ることです。憲章では「中小企業は、経済をけん引する力であり、社会の主役」と位置づけています。これを政策体系の礎とし、その基本理念を通じて、具体化した施策を絶えず検証・発展させるべきです。
 このことを強く求めて、発言を終わります。

全国商工新聞(2012年3月12日付)
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