「消費増税反対」63% 「転嫁できない」5割超 商店街101人に聞きました
商店街を訪問し101人から回答を聞き取りました
全国商工新聞は3日、東京都渋谷区内の商店街で消費税増税についてのアンケート調査を実施しました。野田内閣が執念を燃やす税率10%への引き上げに「反対」が6割を超えると同時に消費税を完全に転嫁できず身銭を切らされている事業者が5割を超えるなど消費税に苦しむ中小業者の実態が明らかになりました。
アンケート調査には101店が回答。消費税率10%について「反対」が63.4%と「賛成」の13.9%を大きく上回りました。対話の中で、「税金の使い道が不明瞭」「増税する前に無駄を削れ」など政治への不信・不満と、「値上げしたらお客さんが離れる」「商店街の人通りも減り、衰退してきている。これ以上、増税されたら…」など不安の声が聞かれました。
不動通り商店街で47年間営業してきた甘味処のおかみさん(70代)は「自分は増税はいやだけど、しょうがないもんね」とあきらめ顔。「できればあがらないほうがいいんだけど」と本音も出ました。
10%はもらえない――判断に迷う苦悩も
青果店を営む60代の男性は「お客さんから10%はもらえない。今はなんとか納税しているけど、これ以上は」と語り、「もう少し国民のことを考えてほしい」と怒っていました。
また、「国会議員が多すぎる」「公務員の数を減らせ」などの声が上がり、マスコミ報道が影響し、財政危機や財源問題などで正確な情報が不足しているため、増税の是非の判断に迷う姿もありました。
10%への引き上げについて「どちらでもない」と答えた店舗では「復興のため」や「国が大変」などの声のほか、「しょうがない」「反対してもどうせ上がる」などのあきらめがあり、賛成も反対もしきれない状況でした。
価格への転嫁は店ごとに格差が
消費税を転嫁できているかどうかについては「もらえない」「もらえないことがある」を合わせて50.5%が完全には転嫁できない状況です。
転嫁できている電気工事店が「今の国の財政状況では仕方ない。誰かが負担しなければ」と話す一方で、食料品店では「生鮮三品への課税はやめてほしい。5%になったときも大変だった。消費税はなくしてほしい」と切実な声が上がるなど消費税の転嫁状況が増税の賛否に大きく影響していました。
集計結果を見ても、増税に「賛成」と答えた店舗のうち78.6%が消費税を「転嫁できている」と回答しています。
売上減や景気、将来不安が共通
増税で心配なことのトップは「売り上げの減少」。次いで「景気の後退」「顧客の減少」となっています。消費税を転嫁できている店舗でも売上減や景気後退への懸念が示され、将来への不安が広がっています。
消費税増税を強行することは、中小業者の営業、国民生活に大混乱をもたらします。消費税増税を阻止するためにも、宣伝・対話行動の強化が求められています。
▼調査の概要と結果
渋谷民主商工会の協力を得て、京王線初台駅から幡ケ谷駅にかけて不動通り、六号通り、六号坂、六号大通りの各商店街で聞き取り。質問項目と回答人数は以下のとおり。
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〔1〕消費税を販売価格に転嫁(上乗せ)できていますか?。
【イ もらえている=47、ロ もらえない=37、ハ もらえないこともある=12、ニ わからない=3】
〔2〕消費税増税で心配なことはありますか?(複数回答可)。
【イ もらえない=19、ロ 納税できない=18、ハ 顧客の減少=27、ニ 売り上げの減少=48、ホ 景気の後退=32、ヘ コスト増=23、ト 特になし=11、チ その他=11】
〔3〕消費税10%への増税に賛成ですか? 反対ですか?
【イ 賛成=14、ロ 反対=64、ハ どちらでもない=21】
全国商工新聞(2012年2月27日付)
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