消費税 文化活動への重すぎる負担=日本美術会代表・首藤教之さん
「人はパンのみによって生くるにあらず」。よい美術、音楽、演劇、文学…、芸術作品は人の人格形成に大きな影響を与え、その一生を豊かにします。どんな人でも思い当たることがきっとあるのではないでしょうか。
現在、この国で「アマチュア」と呼ばれつつ美術を学んでいる人だけを取り上げても大きな数になります。心の充実を求め、仲間を求めてささやかな時間をそれに充てている主婦や高齢の人びと、美術の創作をライフワークにしたいと願ってさまざまに模索する青年たち。
こういう貴重な志と活動に、社会・政治は温かい光を当て、促進の政策を研究し、盛り上げるのが本来の姿だと思います。
しかし、現実は苛酷です。勉強のための書籍、展覧会鑑賞、制作のためのさまざまな材料、制作スペース、発表のための画廊などの使用料、運送料。活動のための経済的条件の悪さが大きくのしかかっています。青年たちは夢と現実のギャップを狭い生活スペースの中でかみしめており、グループ展を開こうとする作家たちは画廊費用の分担の重さに悩んでいます。
民主的な創作団体である私たちの会も経済的苦難にいつも悩まされて来ましたが、現政権がもくろんでいる消費税10%増税がもし実際のものになれば、瀬戸際に立たされることになるでしょう。収益事業でない文化活動にもその事業規模が1000万を超えた時、一律に法定税務を負わせるなど論外です。
自由と社会的良心を掲げ良識の美術家の浄財によって成り立っている私たちの活動を危機から守るべく、たたかうべき時にはたたかい、発展させていきたいと思います。
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