不公平税制是正で財源32兆円 消費税増税は必要ない
―不公平な税制をただす会 2010年度財源試算
事務局長 富山泰一
不公平税制是正による増収試算 2010年度
今回の参院選で、消費税増税問題が大きな争点となり、民主党が「国民の生活第一」「チェンジ」の看板を塗り替えたことに対して、国民が「ノー」を突き付けたと評価されています。
しかし結果は、消費税の目的税化を公約している政党が多数を占め、自民党の谷垣総裁は「民主党が真摯に案をまとめてくれれば、いつでも協力したい」(7月12日・NHK討論スペシャル)と述べ、枝野民主党幹事長も「議論ができる共通の土俵づくりを党内外で進めていきたい」と国民の意に反する態度を表明しています。
このような情勢を迎えた今、国民一人ひとりが「税金とは何か」を真剣に考えなければなりません。
民主党の財源政策の脆弱さは総選挙以前から各界より指摘されており、「子ども手当は所得税控除廃止の増税で」「年金は消費税増税で」と批判されていました。
とりわけ大企業への大減税については「課税ベースが拡大すれば法人税率を見直す」と表明。課税ベース見直しの中心である「租税特別措置」についてはほとんど手付かずで、利用度の高い項目は「恒久化する」という逆立ちの論理展開をしています。
さらには「日本の法人税は高い」と世界に類例のない租税特別措置(国税・地方税合わせ527項目)を隠し、税率だけ比較するという欺まんを国民に押し付けようとしています。
さすがに経団連の税制担当幹部も「日本の法人税はみかけほど高くない」と言わざるを得ない事態になっています。
企業の公的負担は法人税だけでなく社会保険料も含まれます。それは「国民負担率」としてOECD(経済協力開発機構)で発表されており、日本は30カ国中ワースト5位。「高い」どころか「低すぎる」のです。
「不公平な税制をただす会」の財源試算では不公平税制の是正による2010年度の試算額は、国税・地方税合わせて31兆8262億円と算出しました。昨年の試算額約20兆円から見ると国税で約4兆2000億円、地方税で7兆8000億円増えています。
これは株式発行に伴う株価と発行額との差額の非課税措置や受取配当の課税除外、連結納税制度などの増加に伴って課税除外額が膨らんだことによるものです。
この財源試算については国会でも議論となっており、ジャーナリストの団体でも取り上げられ勉強会がもたれています。消費税がなくとも社会保障を充実できる財源の裏付けとして注目されています。
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