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  トップページ > 税金のページ > 消費税 > 全国商工新聞 第2936号 7月26日付
 
税金 消費税
 

許すな消費税10%=ジャーナリスト・斎藤貴男さん

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大企業のための汚い税制
 雑誌などに記事を書いて原稿料を得ている私のようなフリーの記者-マスコミ業界の自営業者-にとっても消費税増税は生死にかかわる。大手出版社は消費税を“預からせて”くれるが、中小の出版社は原稿料に消費税分を上乗せして支払ってくれないので、半分以上で自腹を切らされているのが実態だ。
 消費税が10%に増税されてしまったら、大手だってどうしてくるか分からない。増税分まで乗せてくれれば助かるが、この際、従来の5%分までカットされてしまう可能性さえ小さくないと、私は恐怖している。
 この税金は調べれば調べるほど汚い税制だ。『消費税のカラクリ』(講談社現代新書)にも書いたが、中小・零細業者が自腹を切ることをあらかじめ予定しているとしか思えない。とんでもない価格競争が繰り広げられているなかで消費税を上乗せして売ることは不可能だ。
 赤字であっても強制的に取られる。一方、大企業はまったく負担なく転嫁できるし、下請けに負担させた消費税まで「輸出戻し税」としてとれる。彼らにとっては税率が上がれば上がるほどもうかる仕組みだ。
 政府も財界も、生産性が低いとみなした中小零細など、つぶす対象としてしか考えていない。
 複雑でヌエのような消費税の実態は、にもかかわらず“広く薄く公平な税制”だという政財官マスコミが一体となって進められてきた刷り込みの前にかき消され、不満を口にすることもはばかられる状況だ。年間3万人に及ぶ自殺者の中で自営業者の割合が高いのも、そうしたことが反映しているのではないか。
 社会保障を充実させるための消費税増税、などという主張がそもそも矛盾している。消費税10%が法人税引き下げとセットで提案されたことを考えただけで明らかだ。ヨーロッパの税率の高さと比較する議論もあるが、消費税の社会的、歴史的な経緯もまるで違うのだから、同次元で語ろうとすること自体がどうかしているのである。

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