消費税10%とんでもない=商店街・業界から怒りの声
買い物客でにぎわう都内の商店街。「消費税10%になったら商売できない」の声が聞かれました
「4年間上げないといった公約をなぜ破るのか」―。参議院選挙で一大争点となった消費税10%問題で商店街、業界団体から怒りと批判の声が広がっています。「強い経済」をとなえる菅首相に対しても「法人税減税の穴埋めにするとは何事か」との反論も。“地域経済守れ”と声をあげる商店街・業界団体の声を紹介します。
景気をさらに冷やす
東京・江東区商店街 連合会会長 唐川 和夫さん
小売業の経営は大変厳しい状況です。われわれは消費者と直接、接するので景気には敏感です。いま、消費税を10%に引き上げたら景気は、さらに冷え込むと思います。
消費税を上げる前に、やることがあるでしょう。国会議員の給与や官房機密費、政党助成金を見直し、事業仕分けもどんどんやって、いらない予算はカットする。それからですよ。国民に頭を下げるのは。
引き上げた分の消費税を何に使うのかをはっきりしてほしい。仮に消費税を引き上げるとしても、食料品は非課税にすべきです。
バブル経済が崩壊し、大型店の影響で売り上げは落ち込んでいます。商人はいつも弱い立場。安心して暮らしたいと切実に願っています。
小売業はみんなアウト
兵庫・尼崎商店連盟副会長牛乳組合尼崎支部長 萩原 啓さん
消費税は4年間上げないというのが民主党の約束でしたよね。いまは5%。倍の10%になったら、小売業はみんなアウトですよ。
例えば単純に年間の生活費200万円の人の消費税は、10万円から20万円になる。そうなると、当然買い控えで売り上げは落ちる。今でさえ商店は大変なのに、10%になれば、商店街のシャッター通りが全国で増えるんじゃないでしょうか。
おかしいのは、消費税を上げると言いながら、法人税を下げると菅さんが言っていることです。なぜ、法人税引き下げの穴埋めを消費税でするのか。いまでも大企業にはいろいろな優遇税制があります。それを廃止した後ならまだ分かりますが、優遇したまま法人税を下げるというのは納得できません。
毎年3万人もの自殺者を出しているのが今の日本です。「貧困と格差」がその根底にあります。消費税のアップは貧困と格差をますます広げます。税率アップには反対ですね。
営業やめろの最後通告
京都西新道錦会商店街振興組合理事長 畑 宏治さん
商店街で婦人服販売の営業を始めて四十数年。この間にスーパーライフ、大型スーパーハナ、そして食品スーパー北野の出店等で商店街の来街客は大幅に減少し、各個店の売り上げも右肩下がりの状況です。
そこへ今度の民主党・菅政権は消費税を10%に引き上げるとの公約。われわれ零細小売店の集まる商店街の死を意味する大問題です。
今の5%でも商品の値段へ転嫁できず実質値引きサービスとなっている現状です。消費税10%はまさに営業をやめろという最後通告です。増税されたら必ずや買い物客は今以上に激減し、店主高齢化と合わせて閉店が相続き、シャッター通り商店街となりましょう。そうなれば高齢者の買い物難民が生まれ大変な事態となります。
税金を取りやすいところから取る、そして、住民にとって大切な商店街を壊滅状態に追い込むこの恐ろしい消費税10%を断じて許してはなりません。
公約違反の民主党はおかしい
岩手・宮古地区建設業会会長 北村 順正さん
鳩山前首相は消費税は4年間上げないといって政権交代を果たした。それなのに後に出てきた菅首相が10%にするという。党として何を考えているのかと私は言いたい。
菅さんは鳩山政権の時は副総理、首相の補佐役だった人でしょう。ふざけた話ではないですか。
中小業者はいま不況で大変だ。仕事がない。これで消費税が上がったらどうなりますか。
財源がないと言いながら、法人税は引き下げるという。それならば、何兆円ももうけているトヨタなどの大手企業からしっかり徴収すればいい話ではないか。
消費税を上げる必要はないでしょう。わずか数カ月前の約束を守れない政党や党首に新しい政治は期待できない。
不況の地域経済を追い詰める
愛媛・今治商店街協同組合理事長 新居田 哲理さん
一昨年の暮れに今治大丸が閉店し、人の流れが大きく変わりました。私は、花屋を営んでいますが、この5月から売り上げが急減しています。今治地域の経済は、本当に大変です。そこに菅首相の「消費税率10%」発言です。もう商店は成り立たなくなりますよ。
消費税は、お客さんから預かっていると言われます。しかし、大手スーパーなどとは違い、私たちのような店はお客さんから消費税分をもらえていません。消費税が上がれば、購買意欲が低下し、売り上げはますます悪くなる。景気を良くしようと思うならむしろ、減税をすべきです。イージス艦など年間5兆円にもなる軍事費にメスを入れれば財源はありますよ。
ピーク時には300店舗あった今治の商店街はいま、123店舗です。後継者難、高い固定資産税も深刻な問題です。消費税アップは疲弊している商店街をさらに追い詰めるものでしかありません。
|