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  トップページ > 税金のページ > 消費税 > 全国商工新聞 第2933号 7月 5日付
 
税金 消費税
 

許せません 10%の大増税消費税の疑問に答えるQ&A
大企業・大資産家に適正課税を

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消費税廃止各界連絡会の宣伝行動で「消費税10%なんてとんでもない」「生活費は非課税を」と訴える全商連の西村冨佐多副会長(6月23日)

 参議院選挙(11日投票)が始まり、民主、自民党らが大連立して消費税増税を大合唱。マスコミもこぞって増税やむなしを“演出”しています。「商売・暮らしの状況は今でも大変なのに。消費税の増税なんて反対。でも、財政危機だって言うし。将来不安もあり仕方がないのかな?」と感じている人も多いのでは。Q&Aで考えてみましょう。


Q1 消費税を10%に上げて景気は大丈夫?
Q2 日本財政危機なの?
Q3 ギリシャのような財政危機が心配?
Q4 財政再建するには消費税が必要?
Q5 社会保障のためなら仕方ない?
Q6 福祉目的なら増税してもいいの?
Q7 日本の企業の税負担は高いのか?
Q8 消費税は平等な税では?
Q9 日本の消費税は世界と比べて低い?
Q10 各国の財政再建策は?

  Q1 消費税を10%に上げて景気は大丈夫?
 A 深刻な消費不況と景気の悪化を招くと歴史が証明
 第一生命経済研究所によると、4人家族で新たに年16.5万円の負担増になると試算しています。
 消費税10%の支払い総額は、年間34万6000円にもなります(図1)
 大企業は完全転嫁で消費税を1円も負担していないのに対し、中小業者の多くは、販売価格に消費税分を転嫁(上乗せ)できず、身銭を切って納税しているのが現状です。
 期限内に納税することができず、税務署から差し押さえ処分にあっている業者もいます。中小業者にとって消費税は「営業破壊税」であり、「10%になれば廃業するしかない」と、切実な声が聞かれます。
 また、消費税増税となれば、物の値段が上がり、消費者は買い物を控えます。97年に消費税率が3%から5%に引き上げられ、消費大不況が急激に進みました。
 さらなる景気悪化が心配です。

  Q2 日本財政危機なの?
 A 経済成長と対GDP比でみた債務残高の抑制がカギ
 国と地方を合わせた長期債務残高は862兆円(10年度末財務省見通し)。対国内総生産(GDP)の1.8倍で、国民一人あたりにすると約670万円という大変な額です。
 国と地方の税収は約80兆円。個人で考えれば年収の10倍の借金ですから、「破産する」と心配する声もあります。しかし、この中には公団・公庫や地方自治体などへの融資に活用される国債や、いわゆる「外為証券」として保有する米国債などの資産が300兆円以上含まれています。
 さらに、個人の借金と国の債務を同じ視点で考えるのは不正確です。個人の場合は、寿命や定年があるため、返済できる年月に限りがありますが、国には返済期限がなく、早急な全額返済は求められていないからです。
 大事なことは、「債務の増加を抑える」「経済成長して対GDP比で見た債務残高を減らす」ことです。

  Q3 ギリシャのような財政危機が心配?
 A 投機マネーの暴走が危機の原因、
   財界でさえ「同一視は短絡的」と主張

 菅首相などが、ギリシャのような財政危機に陥らないためにも、消費税を増税し、安定した財源を確保することが必要だと主張していますが、ギリシャと日本の状況は大きく違います。
 ギリシャ危機は、昨年10月の政権交代時に巨額の財政赤字が明らかにされ、債務返済能力が疑われたことが発端。
 専門家は投機マネーの暴走が本質的な原因だと指摘しています。
 ギリシャ国債の格付けが引き下げられ、国債の約7割を保有する外国人投資家が、世界の金融市場で国債を売り込んだことで、ユーロ下落を招いたのです。
 日本の場合、国債の9割以上を国内の投資家が買っており、外国人投資家の動向に左右される状況にはなく、「安全」評価で買われており、利回りも下落傾向です(図2)。消費税増税を主張する日本経団連ですら「同一視することは短絡的」(経団連成長戦略2010)と指摘しています。

  Q4 財政再建するには消費税が必要?
 A 財政に穴を開けた無駄遣いと
   大企業減税をただすことが先決

 菅首相は、財政再建のための財源確保として消費税増税を含む税制の「改革」をすると宣言。事業仕分けで無駄を削ったので、あとは消費税を増税するしかないといわんばかりです。
 しかし、5兆円近い軍事費や無駄な大型公共事業は温存(図3)。「思いやり」予算やグアム移転費など米軍支援の経費は、過去最大の3370億円に上っています。
 また、研究開発減税や証券優遇税制など大企業・大資産家優遇税制を「聖域」扱いにしています。その額は07年には8兆円にもなりました(98年以降の優遇)。さらに、政党助成金は年間300億円を超えています。こうした無駄を削り、大企業優遇税制をただすべきです。

  Q5 社会保障のためなら仕方ない?
 A 改悪続く社会保障大企業減税の穴埋めが狙い
 民主党は参院選マニフェストで「強い経済、強い財政、強い社会保障」をめざす方針を掲げ、「消費税を含む税制の抜本改革を行う」と明記しました。
 消費税は、89年に導入されるときも、97年に税率5%になったときも、「社会保障のため」と宣伝されてきました。
 しかしその後、社会保障は充実したのでしょうか。医療では、健康保険の窓口負担が1割から3割へ。一定の所得がある70歳以上の高齢者も3割負担となり、75歳以上は後期高齢者医療制度に組み込まれました。
 年金の支給開始年齢も60歳から65歳に遅らされました。
 一方で、大企業の法人税と社会保障負担は大幅に減らされてきました。89年から2010年まで(10年度は予算見込み)の消費税の累計は約224兆円ですが、法人税の減収額(累計)は約208兆円(図4)。消費税が社会保障に使われず、大企業減税の穴埋めに使われたことは明らかです。

  Q6 福祉目的なら増税してもいいの?
 A 福祉充実を“人質”に際限のない消費税率アップ狙う
 「消費税を福祉目的に」というのは、消費税を増税するための方便だということは、Q5でも答えましたが、もし、本当に社会保障費(福祉)を全額消費税で賄うとすれば、どうなるのでしょうか。
 09年2月、日本経団連は社会保障制度改革案を発表。「2025年度で追加的に必要となる公費は、現状に比して消費税率換算で12%程度必要となる」とし、消費税を現行の5%から17%に引き上げることを提案しています。
 さらに、事業主と個人で折半して負担している社会保険料も含めた社会保障費も消費税で賄うことを提案しており、これだと30%を超える税率になります。
 消費税の「福祉目的税」化は、際限ない増税に道を開くことになります。

  Q7 日本の企業の税負担は高いのか?
 A 社会保険料負担を加えるとEU諸国より低い
 民主、自民、新党らは、そろって消費税増税と法人税の減税をセットで提案しています。経済産業省は法人税15%引き下げを求めていますが、実現すれば9兆円の税収減に。これは消費税4%分が穴埋めに充てられる計算です。
 消費税の増税勢力は、「大企業の負担を増やすと国際競争力が低下し、海外に逃げてしまう」という財界・大企業の言い分を持ち出しますが、これは真実ではありません。
 日本の法人税率は30%。財務省によると、アメリカ35%、フランス33%、イギリス28%であり、高いとはいえません。さらに大企業は、研究開発減税などの恩恵により、実質的な法人税率は24%にしかならない計算です。
 さらに税だけでなく社会保険料の事業主負担も計算に入れると、ヨーロッパに比べて低いことがわかります(図5)
 経済産業省の「公的負担と企業行動に関するアンケート調査(07年)」によると、生産拠点の海外移転を計画している企業の理由(複数選択)は「労働コスト」がトップで84.7%、次いで「海外市場の将来性」65・1%。「税負担・社会保険料負担」は40.2%で5番目でした。

  Q8 消費税は平等な税では?
 A 生活費にかかり、低所得者ほど負担の重い不公平税制
 「消費税は生活水準(消費)にかかる税金なので公平」という議論があります。
 一律5%の税率ですから、税のかけ方から見ると公平かもしれませんが、払えるのか払えないのかという負担能力を基準に考えると、そうとはいえません。
 総務省「家計調査」から分かるように、年収300万円以下の世帯では負担率が4.1%、1500万円以上の世帯では1.43%です(図6)。そのため、消費税は所得が低い人ほど負担が重くなる「生活破壊」税となります。
 また、消費税を販売価格などに転嫁できない中小業者にとっては、身銭を切って納税することとなり、「営業破壊」税です。
 これは、「消費税の逆進性」といわれており、政府や民主党も認めています。民主党は、この逆進性を緩和するために、手当などの給付で還付することを提案しています。
 しかし、税の「公平」というのは、税の負担能力(収入や所得)に応じて課税されているかどうかで決まります。それは「応能負担原則」といわれており、「生活費非課税」とともに、憲法にのっとった正しい税制のあり方です。

  Q9 日本の消費税は世界と比べて低い?
 A 税収に占める割合では約20%にも。
   欧州は生活必需品に課税せず

 日本の消費税が5%なのに対し、イギリス17.5%、スウェーデン25%など、税率の低さを指摘する声もあります。
 しかし、欧州などでは食料品をはじめ生活必需品の多くは消費税率を0%や軽減させています(表1)
 そのため、日本、イギリス、スウェーデンの各国の国税収入に占める消費税収入の割合は約20%であり、日本の消費税が世界と比べて低いとはいえません。
 もし、消費税率が一律に10%になれば、世界でも突出して高い消費税を負担することになります。

  Q10 各国の財政再建策は?
 A 低所得者へは減税する一方、裕福層に増税が世界の流れ
 世界的な景気低迷の中、低所得者へは減税し、その財源を富裕層増税に求めるのが世界の流れになっています。
 アメリカ・オバマ大統領は、株のもうけに対する税率5%増を提案。10年間で72兆円の中低所得者への所得税減税を120兆円の富裕層などへの増税とセットで計画しています。
 イギリスは所得税の最高税率を40%から50%に引き上げました。また、株式配当にかかる税率も10%引き上げ42.5%(日本は10%)にします。
 フィンランドやドイツは業種や品目を限定して消費税を引き下げました。
 軍事費削減の流れもあります。
 アメリカ・オバマ政権は、軍事費の約90兆円規模の大幅削減計画を今年7月に発表する方針。イギリス国防相も、財政赤字削減の一環として軍事費を削減すると表明しました。
 国民所得が94年のピークから116万円以上減る(09年国民生活基礎調査)なかで、日本企業は、98年からの10年間で内部留保(年々の利益から税金・配当を引いた残り)を400兆円に倍増させました。
 大企業応援の経済政策から、国民・中小業者を応援する経済政策へ転換させなければなりません。


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