鳩山内閣は公約守れ=消費税は上げるべきではない
民主党・鳩山政権は、3月から消費税の本格的な論議を始めるとしています。国民各層から「総選挙の公約違反だ」と厳しい批判と怒りの声が上がっています。宮城県商工団体連合会(県連)や生活協同組合などと一緒に、消費税率引き上げ反対の運動を展開している日本専門店会連盟(日専連)仙台専務理事の小野寺基純さんに、消費税増税と民主党の税制「改正」について聞きました。
「総選挙で民主党は『消費税は4年間上げない』と公約したから国民は1票を投じた」と語る日専連仙台の小野寺専務理事
民主党は総選挙のマニフェストに「消費税は4年間上げない」と書きました。国民はそれを信じて1票を投じたわけです。
自民党政権時、麻生首相や与謝野財務相は10%だ、いや12%だと消費税の増税を口にしていました。所得税法等の一部を改正する法律付則第104条で「消費税を含む抜本改革を行うため平成23年度までに必要な法制度上の措置を講ずる」と2011年に税率を上げる準備までしたのです。
景気が悪くなる一方ですから、国民は「消費税増税なんてとんでもない」とわらをもつかむ思いで、「4年間は上げない」という公約を信じて民主党に投票したわけです。
もう増税論議か
ところが政権交代とともに、「政治とカネ」の問題が噴出。多くの国民は、民主党の中心を担う人たちがもともと自民党の本家の人たちだと知っていたと思います。そうであっても「政治を変えたい」と民主党に投票したと思います。消費税も4年間は上げないといいながら、半年もたたないうちに増税論議に入るとはとんでもありません。
ここ仙台市でも駅前にパルコが出店し、近郊にアウトレット店が2店開店しました。これまで遠くからも仙台市の中心商店街に買い物に来てくれていましたが、その中心商店街も今や空洞化が急速に進んでいます。パルコにも集客を期待したのですが、アウトレット店に取られるなど、すでにテナントの入れ替えが出ています。
そんなときに増税すれば個人消費は冷え込み、商店街の空洞化はますます進んでしまいます。
2月8日、財務省に要請書を届ける消費税率引き上げをやめさせるネットワーク宮城の交渉団(左から2人目が小野寺さん)
国民の声聞いて
政権が代わっても、そう簡単に民主党らしい予算は組めないし、成果も半年ぐらいでは出ないでしょう。ですから、国民は、いつになったら民主党らしさが出るのだろうと思っています。
税制「改正」と同時に「子ども手当」が決まりましたが、本来もらえる人たちからもありがたみを感じる声は聞かれません。「財源がないと言いつつ、的外れなバラマキでは後が心配。手当より託児所とか保育所をもっと作った方がいいのでは」という不安の表れではないでしょうか。
民主党の小沢幹事長は、国民や業界の要求を受ける窓口を幹事長室に一本化しましたが、国民からすると「国民の声が届かなくなった。自分で投票して当選した議員に聞いてほしいのに」と思っているのではないでしょうか。ですから、子ども手当でも意見の違いが出ていると思います。
税制「改正」とは
税制「改正」では、納税者番号制や歳入庁、罰則強化などが出されていますが、全体像が見えません。納めるべき税金が滞った場合、罰則は必要かもしれませんが、拙速です。
現在、金融政策が緩められて資金の流れもできつつあります。しかし、すぐ効果が出るわけではありません。「資金を回したから、滞納は許せない」とはならないわけです。融資の際、事業計画を出させてカウンセリングするわけです。
滞納の解消もしゃくし定規に処分するのではなく事業継続させ納税させるように対応すべきです。
「消費税は4年間は上げないと言った約束を守れ」と言いたいですね。
景気回復こそ
国民はなんとか不況を乗り切ろうと懸命に努力しています。民主党は国民に約束した通り4年間は上げるべきではありません。
この4年間で景気を回復させて、税収増を図る努力をするべきです。これからの日本が進むべき姿を示し、どういう税制にするのか明示するべきです。
社会保障をまかなうのに必要なら、その姿を国民に示し、財源を含めて提案すべきです。
政府都合の宣伝
政府は「ヨーロッパの多くの国々は消費税が25%。日本は5%だから低い」と宣伝しています。しかし、ヨーロッパでは食料品や生活必需品には課税しないか低率です。日本は、ほぼすべてに5%課税していますので、税収全体に占める消費税収はむしろ日本が高いという話もあります。しかし、このことは国民には知らせていません。政府の都合のいいことばかりを宣伝しているのはおかしい。
高齢化社会に備えて税負担をとか、財政が赤字だからと言いつつ実態を示さず、危機感だけをあおるのも間違いです。「100年安心」という年金のうそもダメです。
保守的な人も
日専連の組合員の多くは保守的な人たちです。「政権交代」は国民の期待で生まれました。国民は、現在が厳しい状況であることを理解しているだけに、税の使われ方に関心も高いし、真剣に勉強し監視しています。
無党派層の風もありましたが、かつての自民党支持者の人が「もう自民党はダメだ」との思いで民主党に入れたと思います。そういう人たちがまた今のような自民党に戻るとは思えません。民主党も現在のままでは国民に見放されます。
政治家には国民から信を託されていること、国民には政権を交代させる力があることを忘れないでほしいですね。
協同組合連合会 日本専門店会連盟(日専連)
全国各都市の小売商業者で組織した協同組合組織の連合体。小売商業者の社会的立場とその使命をはっきりと認識し、顧客に対する「正しい商い」を通して「真商道」の実現をめざす志を同じくするものが共働・共生・共助をもって日々活動している組織。
日本小売商業革新運動の母体ともなっている。クレジット事業も行っている。
日専連仙台(東北地区連合会)は仙台市に事務所を置き、約170社が加盟。
日専連本部は東京都、設立1936(昭和11)年10月、正組合は69、準組合8(09年6月現在)。
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