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  トップページ > 税金のページ > 不公正税制 > 全国商工新聞 第3133号9月1日付
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輸出大企業上位20社に消費税8864億円還付

中小業者・国民が負担 大企業は“いただく税金”
元静岡大学教授・税理士 湖東京至さんが指摘

 トヨタ自動車など輸出大企業20社に8800億円の還付―。元静岡大学教授・税理士の湖東京至さんが2013年度の消費税の輸出還付金を推定計算しました。大企業は下請け業者の消費税分の値引きを強要する一方で、巨額の還付金を受け取っている実態が明らかになりました。「輸出大企業にとって消費税は“いただく税金”」と厳しく批判する湖東さんに聞きました。

 表1を見てください。わが国を代表する有力20社に対する消費税の還付金額を最新の有価証券報告書(決算書)から推定計算したものです。
 1位はトヨタ自動車で、年間還付金額は約1400億円になります。2位は三井物産、3位は住友商事、4位は丸紅と商社が続きます。5位は日産自動車、6位三菱商事、7位本田技研工業、10位マツダなど自動車会社も還付金をたくさんもらっています。

表1

消費税の還付金実態はリベート
 アメリカでは輸出企業に対する還付金をリベートと呼んでいます。政府の予算書(平成25年分)の説明によれば、国内の事業者が納める消費税額は約12兆円(税率5%)、そのうち約3兆円、25%が輸出大企業にリベートとして支払われたことになります。
 中小事業者は消費税の納税資金に苦労しているというのに、これらの大企業にとって消費税は「いただく税金」なのです。しかも許せないのは、輸出大企業は自分で消費税を税務署に納めたことは一度もないのです。
 そもそも税金の還付というのは自分が納めた税金が多かったとき還付してもらうことをいいます。輸出大企業は、下請けや取引先が税務署に納めたものを自分が納めたものとしてもらっているのです。おかしいと思いませんか。

八つの税務署で消費税収が赤字
 表2は消費税の税収が赤字になっている税務署をマイナスの大きい順に並べたものです(2012年度分、各国税局の発表資料による)。なんと、ここでもトヨタの本社がある愛知県・豊田税務署が1位、日産の本社がある神奈川税務署が2位、マツダの本社がある広島県・海田税務署が3位となっています。この数字はその税務署管内の事業者が納税した消費税額から還付した消費税額を差し引いた額を示しています。
 例えば豊田税務署の場合には、還付金額は1769億円ありますが、納税額が346億円ありますので差引赤字額は1423億円になっているのです。
 豊田税務署の還付金額1769億円の90%は、トヨタ自動車1社への還付金と思われますので、トヨタの2012年度の還付金は少なくみても1600億円と推計できます。表3はトヨタが税務署から還付金を受け取る仕組みを示したものです。

表2

表3

還付金の推計がますます困難に
 表1は筆者が各企業の有価証券報告書に基づいて還付金額を推計したものですが、2014年3月決算から推計するのが大変難しくなりました。その理由は、金融庁が有価証券報告書に記載する各企業の財務諸表(決算書)を大幅に簡略化することを認めたからです。
 例えば、製造原価明細書や経費の明細書など還付金の推計に必要な事項の記載がないのです。そのため今年の推計額はやや大ざっぱにならざるを得ませんでした。また、還付金の推計に必要な輸出販売の割合についても、トヨタ、日産、ホンダ、マツダは公表していますが、他の各社は公表していません。そのため、公表していない各社の分は連結決算書の資料などから推計せざるを得ませんでした。
 企業が決算内容の細部まで公表しない傾向は、これからも続くと思います。しかし、トヨタなど輸出大企業に還付金が支払われている事実は消すことはできないのです。

全国商工新聞(2014年9月1日付)
 

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