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  トップページ > 税金のページ > 地方税 > 全国商工新聞 第3080号7月22日付
 
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地方税滞納 不当な差押から営業とくらしを守る

 大企業を優遇し庶民には重税を押し付ける歴代政権の政策で「税金を払いたくても払えない」中小業者が増える中、法律で禁止されている財産を差し押さえる不当な徴収が各地で広がっています。「営業と生活を脅かす滞納処分は許さない」とたたかう民主商工会(民商)の運動と成果を特集します。

年金奪う暴挙を追求し
愛知・瀬戸尾張旭民商の会員

 愛知・瀬戸尾張旭民主商工会(民商)のTさん=店舗デザイン=は6月18日、民商役員と共に蟹江町と交渉。鳥取地裁判決(解説)を力に同町に差し押さえられていた年金を返還させました。
 Tさんは、12年前に勤めていた会社の倒産を機に独立しましたが、知人の保証人となったことで多額の債務を負いました。昨年9月に自己破産し免責を受け、全財産を失い生活は困窮。病気を患っている家族を抱え、わずかな売り上げと年金が生活の支えでした。
 固定資産税や国民健康保険税、町県民税の未納額と延滞金で約528万円をやむなく滞納しました。それでも月2000円ずつ分納してきました。

 借りて払え 冷たい対応
 今年5月下旬、「差押執行予告書」が送られてきました。高橋さんは6月3日、同町の職員に問い合わせました。職員は「分割支払いは不可だ。全額を払わなければ差し押さえる。借りてでも払え」と言いました。
 Tさんが「自己破産した私にとって年金は生活の糧。差し押さえられたら生活できない。死ねというのか」と訴えると、職員は「それはあなたの事情」と冷たく突き放し、寄り添う姿勢はありませんでした。
 6月6日、同町はTさんの預金口座にあったわずか854円の預金を差し押さえ。年金振込日の6月14日には、預金口座に振り込まれた年金と同額(26万8533円)を差し押さえました。年金が振り込まれる直前の預金残高はゼロ円。
 法律(解説※1)で差し押さえできる金額が制限されている「差押制限財産」である年金の全額を差し押さえました。

 民商役員ら 違法性指摘
 6月18日の交渉にはTさんの他、民商の大野芳治会長と橋本圭史副会長、県連の服部守延、久野孝則の両副会長らが参加。総勢13人を超えました。
 役員らは「自己破産し免責を受けていた事実を知っていて、なぜ納税相談に応じなかったのか」と迫ると、町側は「(自己破産免責は)知らない」と回答。
 役員らは鳥取地裁判決を詳報した全国商工新聞を示し「差し押さえの違法性は極めて高い」「道義的に許せない」と厳しく追及。Tさんは預金通帳のコピーを突き付けて、同町の差し押さえ処分の不当性を訴えました。
 町は、Tさんが破産免責を受けた事実と差し押さえが制限されている年金を差し押さえたことを認め、「年金を返金する手続きをする」と回答しました。
 交渉後、Tさんは「民商に感謝しています。鳥取県のたたかいにも励まされ、年金を取り戻せた。私の経験が仲間の役に立ってほしい」と喜びました。

徴収後の児童手当返る
長野・須坂北信濃民商

 地方税の滞納を理由に児童手当と給与が振り込まれた預金を押さえられたAさんから相談を受けた、長野・須坂北信濃民主商工会(民商)は6月中旬、Aさんと共に中野市と交渉。差し押さえられていた約12万円をすべて取り返しました。
 Aさんは30代。妻と小学校1年生の長男と次男の4人家族。長引く不況の中、アルバイトで生活費を捻出していましたが、2008年ごろから国保税の支払いが困難に。同税や延滞金などを含めて約33万円の滞納を余儀なくされました。
 今年5月、Aさんはやっとの思いで製造業を営む会社に勤めることができました。6月10日は初めて受け取る給与と児童手当の振込日。妻が銀行で引き出そうとすると、残高141円の預金口座に振り込まれた児童手当8万円と給与16万6151円のうち、12万6292円が同市に差し押さえられ、滞納税金に充当されました。
 妻は目の前が真っ暗に。子どもの教育費と自動車税などを支払うと、手元には4000円しか残りませんでした。

 振込日狙う市に抗議し
 親族の民商会員から「困ったら民商」とアドバイスを受けたAさんと妻は、6月18日、民商に相談。中村誠直事務局長は、日本共産党の市議会議員と連絡を取り合い、市の税務課へ抗議し交渉しました。
 交渉は20日にも行われました。Aさんらは鳥取地裁判決や預金口座に入金された給与の差し押さえの取り消しを求めた裁判の和解事例(10年3月)を示し、「児童手当や給与の差し押さえは不当だ」「2人の子どもを抱えているのに生活ができなくなる。生活状況を把握して行ったのか。困っている市民に寄り添った対応はできないのか」と厳しく迫りました。
 税務課長らは、生活状況を把握していなかった事実を認めるとともに、国保税の減免や就学援助制度を説明するなど対応に変化が。滞納税金に充当された差し押さえ金額については、全額を返すことを約束しました。
 後日、妻から「全額返してもらいました」とホッとした様子で民商に連絡が入りました。

全国商工新聞(2013年7月22日付)
 
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