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  トップページ > 税金のページ > 地方税 > 全国商工新聞 第2866号 2月9日付
 
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出産育児一時金の差押さえを返還=京都・左京

違法な滞納処分に警鐘

 健保組合から振り込まれたばかりの出産育児一時金(35万円)を京都府に差し押さえられ、滞納していた自動車税11万6900円に充当された左京区の山口良成さん(仮名・29)=建築。左京民主商工会(民商)とともに「法律が定める差押禁止財産への不当な取り立てはやめよ」と粘り強く交渉し、このほど全額を返還させました。生存権的財産や、児童手当などの生活扶助までも差し押さえる国・地方の税務当局のあり方に警鐘を鳴らす大きな成果です。

 ビルの基礎工事を行う山口さんは、昨年夏までは従業員を2人雇い順調でしたが、秋から仕事が激減。トラックなどの自動車税を滞納していました。
 銀行から出産育児一時金の差し押さえの連絡を受けたのは1月15日。山口さんは東府税事務所に、「妻の入院費に充てるためのお金。滞納分は分割納付するのですぐ返還してほしい」と訴えましたが、職員は「いったん差し押さえ、即時納付したものは返還できない」と突き放しました。
 困り果てた山口さんはインターネットで「滞納税金の相談」を検索。京都府商工団体連合会(京商連)に相談し、左京民商に入会しました。
 アドバイスを受けた山口さんは1月19日、民商の仲間とともに京都府に「滞納処分の執行停止を求める請願書」を提出。「健康保険法61条(受給権の保護)は、出産育児一時金などの保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、または差し押さえることができないと定めている。違法な滞納処分を撤回せよ」と迫りました。
 府側は出産一時金が「差押禁止財産」であることを認めつつも、「振り込まれたお金は一般財産と同じ。最高裁も認めている」と回答。交渉団は「それでは受給権の保護を定めた法律が有名無実化する。差し押さえたお金が出産一時金であったことが確認された以上、返還すべきだ」と詰め寄り、検討を約束させました。
 府側は同日、担保または保証人を入れることで返還すると回答してきましたが、「担保を取る法律規定は50万円以上の滞納の場合。根拠はなにか」との追及に返答できず、取り立てたお金の全額返還を約束しました。
 山口さんは「みんなが応援して解決できる民商は頼もしい」と話しています。
   
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