納税者の権利
国税庁は昨年7月からの1年間の方針として、「調査と徴収」に特化して体制を強化することを各国税局長に指示。「大口・悪質に対する深度ある調査」と「中低階級に対する簡易な接触」など、メリハリある効率的な税務調査の実行を強調し、調査件数の増加を狙っています。
この動きに連動するかのように、「予告なしで複数の税務署による6店舗、工場、自宅のいっせい調査」「許可なく寝室、子ども部屋まで侵入した」など、任意調査を逸脱した人権侵害の税務調査を受け、民商に相談する事例が相次いでいます。
滞納になった国や地方税の徴収では、分納の相談中でも突然に売掛金や生命保険などの差し押さえを予告、差し押さえ禁止財産である児童手当なども預金化された瞬間に引き落とすなど、生存権が脅かされています。
民商・全商連はこの間、税務署の不当な調査や課税処分に対して是正を求め、謝罪や処分の取り消しなどの成果を挙げています。滞納問題では、国税通則法が定める「納税の猶予」や国税徴収法が定める「滞納処分の停止」などの納税緩和措置を地方税にも適用させ、納税者の権利と生活を守る運動に取り組んできました。
昨年、与党になった民主党は、納税者権利憲章の制定を公約し、その実現が期待されます。しかし、民主党が昨年12月に発表した「税制改正大綱」には、無申告や脱税、税務調査拒否に対する「罰則強化」や「納税者番号制度」の導入が記されており、これで納税者の権利を保障できるのか疑わざるを得ません。新政権の狙う税制改正の本質をつかみ、広く世論に訴え、国税当局の権限の制限や納税者の権利を法的に保障する本物の納税者権利憲章を制定させることが求められています。
毎週発行される全国商工新聞とともに、全商連「日常的な自主計算活動を 2010」にある「税務調査について10の心得」や「応能負担原則」など国民主人公の税制を支部や班で学んで運動を強め、営業と生活が守られる税制へ転換させましょう。
(おわり)
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