消費税の仕入税額控除
消費税は売り上げにかかる消費税額から仕入れにかかる消費税額を差し引いて申告・納税します。売り手は商品の代金に消費税を上乗せして販売します。これを消費税の転嫁といいます。消費税は売り手から買い手に転嫁され、最後は消費者の負担となる税です。
法律は消費税の転嫁を保証していません。消費税を転嫁できるか否かは売り手と買い手の力関係によって決まります。値引きや単価の切り下げで、消費税を実質的には転嫁できない中小業者の場合、消費税分は「自腹」を切ることになるのです。ここに消費税の滞納が増えている理由があり、中小業者には過酷な税金といえます。
基準期間(2年前)の課税売上高が5000万円以下の中小業者については、届け出によって売り上げにかかる消費税額の一定割合を仕入にかかる消費税額とみなして、納税額を計算する方法が認められています。簡易課税制度です。みなし仕入率は業種によって5段階に区分され(1)卸売業(90%)(2)小売業(80%)(3)製造業等(70%)(4)その他事業(60%)(5)サービス業(50%)となります。簡易課税を選択する届出書はその年の前年12月31日までに提出します。
簡易課税が適用される年度については帳簿類および請求書等の記録保存の規定は適用されません。ただし、売り上げについては、二つ以上の事業に該当する場合は、区分経理する必要があります。簡易課税の選択には納税額だけでなく自主記帳の状況を含めて考える必要があります。
03年3月に消費税法が改悪され、小規模事業者の免税点が3000万円以下から1000万円以下に引き下げられました。簡易課税の適用も、2億円以下から5000万円以下に引き下げられました。これにより、個人事業者の05年分の消費税申告件数は04年分と比べて40万件から153万件へと3・8倍に、納税額は2977億円から6125億円へと2倍になりました。
民主党は、消費税の社会保障目的税化をめざしており、消費税の増税か、社会保障の削減かの二者択一を国民に迫るでしょう。消費税増税によらない社会保障の充実を求める国民的運動が必要です。
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