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税金につぶされてたまるか! 権利として「納税の猶予・徴収の猶予」の活用を
注:国税は「納税の猶予」、地方税は「徴収の猶予」で申請します
税金が払えないときは「納税の猶予・徴収の猶予」の申請を
全国各地から、多くの中小業者が税金を払いきれない実態が報告されています。その納税相談のほとんどは税務署との分納交渉で済まされています。しかし、「差押えありき」の強権的な徴収行政が横行するもとでは、「納税の猶予・徴収の猶予」を申請し、その権利を主張する事が大切です。この申請書は税金を納付することができない状況にあるとき、誰でも提出できます。
「納税の猶予等の取扱要領」(※)第1章では、納付が困難である旨の申出等があった場合には、納税者に有利な方向で制度の活用を図るよう明記しています。※昭和51年6月 国税庁通達(以下「猶予通達」)
「納税の猶予等の取扱要領」より抜粋
特に、納税者から、その納付すべき国税につき即時に納付することが困難である旨の申出等があった場合には、その実情を十分調査し、納税者に有利な方向で納税の猶予等の活用を図るよう配意する。(第1章1)
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税務署や地方自治体の窓口に、猶予申請を提出しても受け取らない事例があります。猶予申請書の記載事項は、国税通則法施行令15条で決められています。必要な記載事項が記入されていれば、行政は受理しなければなりません。
通則法施行令第15条(納税の猶予記載事項)
1.納付すべき国税の年度、税目、納期限、金額
2.当該猶予を受けようとする金額
3.当該猶予を受けようとする理由
4.当該猶予を受けようとする期間
5.分割納付で当該猶予を受けようとする場合にはその分割金額と当該金額ごとの猶予期間
6.猶予金額が50万円超の場合は担保(担保を提供
することができない特別の事情があるときはその事情)
(以上は地方税の「徴収の猶予」にも準用されます)
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猶予申請の権利行使で税務行政をただしましょう
税金を払いきれない納税者の要求に「分納」交渉で対処することは少なくありません。しかし、「分納」は「換価の猶予」の一環であり、徴収職員の裁量権に過ぎません。このため「担当が変わったら一括支払いを求められた」「突然、分割金額の引き上げを求められた」などの声が後を絶ちません。また「分納」では金額も期間も制約され、何より延滞税・延滞金は残ります。
徴税攻勢との対決の基本は、課税の領域でも徴収の領域でも、基本的人権や生存権、財産権を保障させることにあります。
人権を無視した過酷な徴収行政をただすために、「納税の猶予・徴収の猶予」の申請行動で権利を行使し、次のことを主張しましょう。
@横行している人権無視の徴収に抗議し、税務行政をただしましょう。
A徴収職員に憲法・法律・行政文書などに基づいた徴収実務をおこなうよう求め、納税緩和の諸制度に対する不勉強を改めさせましょう。
B中小業者の営業と生活の実態を訴え、納税者の実情を尊重した分割納付を求めましょう。
納税の猶予が許可されると
1.督促状が届いても新たな滞納処分ができません。
2.差押え物件は申し出により一定の要件で解除できます。
3.延滞税(14.6%)の半額免除(措置法により2008年度現在は4.7%)、または全額免除が可能です。
4.安心して分納ができます。完納できなければ1年延長の申請ができます。
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猶予申請で「許可通知」をかちとると、上記のような効果も得られます。申請が「不許可」になったとき、その決定に納得ができなければ、不服申し立てができます。
「生存権的財産は守られなくてはならない」(国税庁交渉で明言)
今日、国税でも地方税でも、納税者が黙っていると『税金を払えない』という困難につけ込み、売掛金や預金、生命保険などを問答無用で差し押さえる徴収行政が強められています。それだけに、政府交渉で引き出してきた回答や国会答弁を、交渉で活用することが求められています。
衆院財務金融委員会での政府答弁
(2008年4月16日)
「事情をそんたくして(税金を)とるだけではなく、その商売が生かせるなら生かしていかなければならない」(額賀福志郎 財務大臣)
「納税の猶予は災害・火災だけでなく、資材の高騰や市場の悪化など、経済環境の急激な悪化も適用要件に該当する」(佐々木豊成 国税庁次長)
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生存権的財産は守られる
滞納税金での差押えについて「生存権、財産権もあり、原則として生存権的財産は守られなくてはならないと考える」(2008年2月8日 国税庁交渉)
仕入れなどの資金はつなぎ資金となる
納税の猶予の際の納付能力調査では「仕入れ、人件費、借入返済金など、事業の継続に不可欠な資金は、納税可能資金に入らない」(2007年10月29日 国税庁交渉)
納税者の実情を尊重
「滞納者には、払えず、猶予しなくてはいけない人もいるので個別に判断する」(2007年10月29日 総務省交渉)
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「納税の猶予等の取扱要領」(「猶予通達」)の活用を
税務署や地方自治体では、いろいろ難癖をつけて「猶予申請書」を受け取らなかったり、決定通知を出さなかったりする事例が各地で見受けられます。不当な扱いは見逃すことなく抗議しましょう。
その際、「猶予通達」が権利主張の大きな力となります。大いに活用しましょう。
猶予申請の際「猶予通達」を活用し、「経済的理由」や「介護による負担理由」を主張、許可を勝ち取る成果もあげてきました。
「納税の猶予等の取扱要領」より抜粋
(事業についての著しい損失の調査は)「納税者が帳簿等を備えていない場合又は帳簿等による調査が困難である場合には、納税者からの聞き取りを中心にする等その状況に応じ、…算定して差し支えない」(第2章第1節1 ―(3))
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この「猶予通達」は「納税の猶予」「換価の猶予」「延滞税の免除」「納付能力調査」などに関しての取扱を網羅したものであり、徴収職員の税務行政を拘束するものです。納税者の立場から積極的に活かせる条項も多いので、よく学習し、実践に生かしていきましょう。
「納税の猶予等の取扱要領」より抜粋
…強制的な徴収手続等を緩和することが納税者の実情に適合し、かつ、徴収上の措置としても妥当とされる場合がある。納税の猶予等の制度は、このような場合に納税者の実情に即応した措置を講ずることにより、納税者との信頼関係を醸成し、税務行政の適正、かつ、円滑な運営を図ることを目的とする (第1章)
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この「猶予通達」には「納付能力調査」という聞きなれない言葉が出てきます。これは納付が困難であるかどうかの判定をおこなうためのものであり、税務調査とは異なります。
* 現在納付可能資金=(当座資金−つなぎ資金)で求めます。
* 見込納付能力調査は、家計表などを使っての略式調査もあるので要請しましょう。
「納税の猶予等の取扱要領」より抜粋
「納付能力調査は、性質上、課税のための調査と誤認されるおそれもあるので、調査に当っては、そのような誤解を受けないよう十分に説明し、納税者の協力が得られるよう配意する」
(第7章第1 節3 )
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