法人化し社保加入=大阪・東淀川民商

菅原淳史さん・内装工事

 20歳の時、独立開業した大阪・東淀川民商会員の菅原淳史さんは、建設業者に社会保険加入を求める動きが強まる中、民商に対応策を相談しました。
 法人設立と社会保険加入の準備を同時に進め、昨年6月1日、「株式会社ファイブ技建工業」を立ち上げることができました。
 まもなく第1期の決算を迎えますが、経営者としての能力を開花させました。
 パソコン記帳も始め、民商の仲間と一緒に試算表を作成し融資も実現。着実に業績を伸ばしています。

全国商工新聞 2016年4月18日付

鳥取判決示し児童手当差し押さえ解除
=大阪・生野民商会員

国保料分納中に児童手当を狙い撃ち「取り戻せて良かった」

 国民健康保険(国保)料の滞納を理由に、児童手当を差し押さえられた大阪・生野民主商工会(民商)の高橋隆さん(仮名)と妙子さん(仮名)夫妻は2月5日、民商の仲間とともに大阪市に抗議し差し押さえを解除させました。「約束どおり毎月、国保料を分納していたのになぜ差し押さえたのか納得できないが、民商の仲間や社会保障推進協議会(社保協)の人たちが一緒に抗議してくれて児童手当を取り戻すことができて本当に良かった」と話しています。

 今回、大阪市が差し押さえたのは、3人の子どもたちの児童手当が振り込まれる預金口座にあった2万1309円。預金口座に振り込まれた児童手当を差し押さえたことを違法と断罪した「鳥取判決」(注1)を無視した暴挙です。市では2期分の滞納があれば財産調査を行い、差し押さえるという強権的な国保行政が横行していました。

通帳見せて追及

 2月4日、生野区との交渉には高橋さん夫妻をはじめ、森野一志副会長や民商や大阪社保協の事務局員が参加。「高橋さんは毎月2万5000円の国保料をきちんと分納していた。差押禁止財産(注2)である児童手当をなぜ差し押さえたのか」と厳しく追及、通帳のコピーを見せながら「児童手当の他には入金はなく、預金口座に残っているのが児童手当ということは、はっきりしている」と抗議しました。
 担当者は「差押禁止財産であっても預金口座に入金され、一定期間過ぎれば差し押さえができる」と強弁しましたが、参加者は「鳥取判決を知らないのか。児童手当は入金されてもその性格は失われない。差し押さえた口座は児童手当しか入金がない。差し押さえは判決に反する行為」と批判。その場から市に問い合わせることを求めました。担当者はようやく誤りを認め、「差し押さえは解除する」との回答を得て、翌日に差押解除が通知されました。
 高橋さんは売り上げが伸びず、知り合いのところで働きながら生計を維持していました。
 重くのしかかったのは国保料の納付。今年度の国保料は約39万円となり、所得に占める割合は19%を超えていました。期日どおりに納められず、妙子さんは毎月、区役所の国保課に出向いて相談をしながら2万5000円を欠かさずに納付してきました。
 ところが大阪市は1月19日、「差押の予告」を送り付けてきました。妙子さんがすぐに窓口に相談に行くと担当者は「25日までの一括もしくは2回納付をしなければ差し押さえる」と説明。その時も2万5000円を納付しましたが、26年度、27年度の国保料27万円の滞納に対して1月29日、差し押さえを強行しました。

市に調査を要請

 大阪社保協は事態を重視し、「生野区による差押禁止債権(児童手当)に関する質問と要望について」を大阪市に提出(2月12日)。経過の説明とともに同様の差押禁止財産を差し押さえていないか調査することなどを求め、再度、交渉することにしています。

[注1]鳥取判決とは・・・

 預金口座に振り込まれた児童手当を鳥取県が9分後に差し押さえ、滞納していた県税に充てたのは違法だとして、鳥取民主商工会(民商)の会員=不動産=が訴えていた裁判で、鳥取地方裁判所は「権限を乱用した違法なもの」と鳥取県の処分を断罪しました(2013年3月29日)。鳥取県は控訴しましたが、広島高裁松江支部(塚本伊平裁判長)も「児童手当の属性を失っていない」と判断し、差し押さえは「児童手当法の趣旨に反し違法である」との判決を下し(2013年11月27日)、判決が確定しました。

[注2]差押禁止財産とは・・・

 国税徴収法に基づき、衣服、家具、台所用品および生活に必要な3ヵ月間の食料および燃料などをはじめ介護保険、生活保護、児童手当、労災保険の給付金は差し押さえが禁止されています。

全国商工新聞 2016年2月29日付

仲間と一緒に交渉して社会保険料を分納
=愛知・名古屋南民商

 差し押さえをちらつかせ、納付する社会保険料の増額を強引に迫られていた村田徹さん=メッキ加工=はこのほど愛知・名古屋南民商に入会し、民商の仲間と一緒に笠寺年金事務所に抗議しました。職員は乱暴な手法の誤りを認めて謝罪しました。「民商の仲間は具体的な提案をして一緒に交渉もしてくれた。民商に入って本当に良かった」と笑顔を見せています。
 村田さんは車やバイクのクロムメッキの仕事を手がけ、3人の従業員を雇用しています。厳しいながらも経営を伸ばしてきましたが、2008年のリーマンショックを機に売り上げが激減。社会保険料の納付が滞るようになりました。
 それでも何とか事業を立て直し、年金事務所が言うとおりの金額を毎月、納付してきました。
 ところが2年前、担当者が代わると、「差し押さえ」をちらつかせて増額を迫るよう一変。やむなく増額に応じ、滞納分を含めて毎月110万円ほどを納めていました。
 すると今度は「延滞金もあるからもっと増やせ」と一方的に迫りました。途方に暮れていたとき民商のラジオCMを聞いた村田さん。すぐに連絡したところ、竹内達夫副会長と事務局員が1月12日に訪ねてきて「年金事務所に行って一緒に抗議しよう」と励まされ、村田さんはその場で入会しました。
 早速、笠寺年金事務所と交渉。「未払い分や借り入れもある中で、社会保険料を優先して納めてきた」「誠実な納付をしているのに差し押さえで脅すのはおかしい」と抗議したところ担当者は、「以前の担当者がすぐに差し押さえを言ったのは行き過ぎ」と謝罪。今後についても「村田さんは誠実に納付しているので、毎月納付書を送ります」と約束しました。

全国商工新聞 2016年2月29日付

民商の集団申請に参加 国保料年13万円減
=大阪・豊中民商

市独自の3割減免適用

 大阪・豊中民主商工会(民商)は7月13日、国民健康保険(国保)料の集団減免申請を豊中市役所で実施。2人が市独自の3割減免を実現しました。
 その一人で、昨年に続き参加した山根朋昭さん=理・美容=は、仕事で使う車を買い替えなければならず、前年より所得が減少。窓口で、事前に準備した売り上げ・経費の集計表を使って厳しい状況を具体的に説明し、3割減免が適用されました。山根さんは「年額で13万円の減額になり助かりました」と、ホッとした表情で語りました。
 申請の前に、日本共産党のいつき澄江市議と懇談。「市は国保会計が黒字でも、国保料を進んで引き下げようとしない。市民が声を上げることが大事」と参加者を激励しました。
 民商の出口保幸会長=地質調査=は「国保料減免申請は、国保法第77条に定められた私たちの権利。恥ずかしいことでも、人の迷惑になることでもない。堂々と減免申請をしていこう。また、『払える国保料にしてほしい』という市民の声を署名で集め、来年こそ国保料を引き下げよう」と呼び掛けました。
 民商は今年も11月まで毎月、集団減免申請に取り組みます。

全国商工新聞 2015年9月7日付

集団申請で国保料減免=名古屋西部民商など

 名古屋西部民主商工会(民商)は7月24日、名古屋市中村区年金者組合とともに、国民健康保険(国保)料の集団減免申請を中村区役所で行い、民商から参加した4人全員が減免されました。
 中村区役所からは国保年金課長と係長が応対しました。
 参加者は「一宮市などで実施している、独自減免対象者への職権での減免を名古屋市に要望してきた。今年度は納付通知書に減免申請のお知らせが添えられ大変喜ばれているが、区役所まで来られない人もいるので、減免申請書を同封してほしい」と要望。
 国保年金課長は「郵送で減免申請の受け付けができないか検討した。次年度、申請書が同封できるよう再度検討する」と回答しました。
 申請書を出して20分ほどで、係長がそれぞれの減免決定を通知。Kさん=古物業=は「私は保険料が2万5000円ほど下がりました。なかなか一人では行くことができないし、下がるか下がらないかも分からないので、こうした機会はありがたい」。他の民商からの参加者は「8万円近く保険料が下がった。自分ではよく分からないので参加して良かった」「私は2000円下がった」などと話していました。

全国商工新聞 2015年8月31日付

国保税滞納 差押解除
売掛金取り戻す=札幌北部

 国民健康保険(国保)税の滞納を理由に、北海道石狩市から預金口座を差し押さえられた札幌北部民主商工会(民商)のTさん=左官=は12月12日、市と交渉して差し押さえを解除しました。Tさんの妻は「安心して正月を迎えられた」と喜んでいます。
 Tさんは営業不振で、07年から2年分の国保税が滞りました。滞納分は分割で納めようとしましたが、当年分がやっと。保険証も短期保険証に切り替えられていました。
 昨年11月2日、Tさんが硬膜下血腫で緊急入院し、すぐに手術という事態。その数日後、市から差し押さえ通知が届きましたが、入院中で相談できず、妻は一人で悩んでいました。
 11月29日、口座に振り込まれた売掛金41万円が差し押さえられました。売掛金は材料費などの支払いと生活費に充てる予定のもの。
 Tさんの妻はすぐに民商に相談。石狩支部長や日本共産党の長原徳治市議会議員の援助も受けて市と交渉。「差し押さえられた資金なしには、事業も生活も成り立たない。急な入院と手術で出費も重なるだけに、差し押さえはやめてほしい」と切実に訴えました。
 交渉の結果、本税については1月末までに完納する計画も示し、延滞金については5月以降に再度相談することで預金口座の差し押さえを解除させました。Tさんは12月中に退院し、高額療養費の支給申請をしています。

全国商工新聞 2014年1月27日付

国保料滞納 申し入れで差押解除、分納へ=長崎

 長崎・佐世保民商は7月2日、佐世保市保健福祉部保険料課と国保について懇談しました。3年連続の開催となり、懇談を通じて中小業者の実態を訴えてきたことが、行政に変化を生んでいます。
 国保税滞納で生命保険を差し押さえられたAさん=飲食=は、本税滞納30万円に加え延滞金が75万円になっていました。一部支払いについてめどが立ったため、ことし5月に保険料課に出向き40万円を納付。「延滞金は月々1万円支払うので減額を」と訴えました。職員は上司と相談した後、「延滞金の支払い状況を踏まえ、1年後または2年後に運営協議会に諮り、延滞金の減額を検討したい」とAさんの要望を認めました。
 昨年の懇談ではBさん=飲食=が、「1年分の滞納で保険の割戻金を差し押さえられた。『月5000円を分納したい』といっても聞き入れない。まるでサラ金の取り立て」と実情を語り分納を要望。同課へは、希望した通り、毎月5000円ずつの分納を認めさせました。

全国商工新聞 2013年8月19日付

社会保険料滞納 差押を解除 全額返還=埼玉・本庄

 相澤裕司さん=清掃=は、昨年2月に従業員3人で会社を設立しましたが、売り上げが伸びず、給与支払いが精いっぱい。7カ月分の社会保険料を納付することができませんでした。「納付誓約書」の提出を強要され、納付が滞ると突然預金口座が差し押さえられました。
 悩んだ末、相澤さんはインターネットで知った埼玉・本庄民商に相談。「分納計画は経営状況を踏まえ適切な納付額を設定することが原則。納付困難な場合は納付の猶予制度も活用できる」とのアドバイスを受け、4月22日に民商と一緒に年金事務所と交渉。
 担当者は当初、渋ったものの、「差し押さえは解除する。今後の納付計画についても、あらためて相談したい」とその場で「差押解除通知書」を受け取り、40分後に約100万円の売掛金全額が返還されました。
 相澤さんは「滞納を整理し、会社を軌道に乗せたい。自分と同じ思いをしている人の力になり、社会にも貢献をしたい」と話しています。

民商の保険相談 事業主本人も労災加入=京都・亀岡民商

 40歳までの独立を思い描いていた京都・亀岡民商の江見朋也さん=塗装。思い切って足を踏み出し、1月9日に独立開業。早速、民商に入会し、労災保険の一人親方の加入について相談したところ、事務組合を通じて特別加入をすることができました。
 江見さんは学校や公営住宅などの生活に密着した公共事業や一般住宅の塗装工事をしています。現場では必ず、作業員の労災保険の加入状況が分かる名簿の提出が求められます。「外注の下請け職人の労災保険は、労働基準監督署で加入手続きを済ませていたので、それで『よし』と思っていた」と江見さんは話します。
 ところが現場で「これじゃ、あかんのと違うか」と指摘され、初めて自分自身が加入しなければならないことに気付き、労働基準監督署に相談しました。「一人親方の加入手続きは、厚生労働大臣の認可を受けている労働保険の事務組合に申し込んでください」と言われ、亀岡民商に相談。特別加入の手続きをしました。
 江見さんはいま、仕事を確保するため積極的に営業活動を展開しています。

全国商工新聞 2013年2月25日付

国交省交渉 社会保険加入問題「実態調査が必要」

 国土交通省との交渉(1/29)では、建設業許可業者に対して期限を切った社会保険加入を強制しないことなどの求めに対し、省側は「社会保険加入を条件にしていない」とあらためて回答。しかし、参加者は「建設業許可を新規に申請したが社会保険加入が条件と言われた」(宮崎)など、国の方針が徹底されていない実態を明らかにしました。
 また、雇用保険をめぐって「加入していなければ、親会社から現場に来なくてもいいと言われた」(北海道)、「元請けから加入を証明するための書類提出を求められる」「住所が定まっていない職人が『加入できない』と辞めていき、技術を持った働き手がいなくなっている」(福岡)などの問題が浮き彫りになりました。
 2012年11月から社会保険未加入の建設業者が指導に従わない場合、営業停止処分ができるように施行規則を改悪したことへの意見も噴出。「下請けまで福利厚生費が払われるような仕組みづくりを先行させるべき」「実態を把握せずに強制加入を押し付けるのはおかしい」と同省をただし、「社会保険加入義務のない個人事業者に加入を押し付けるのは間違っている。実態調査の必要性を感じている」との回答を得ました。

全国商工新聞 2013年2月11日付