税務調査 自主申告を力に「是認」
=北海道・北見民商

立ち会い認めさせ

 税務調査を受けていた北海道・北見民主商工会(民商)の島田雄二さん(仮名)と香織(仮名)さん夫妻=カメラ店=は10月26日、本人の申告を認める「是認」を勝ち取りました。自主記帳・自主申告が力になり「民商の仲間がアドバイスをしてくれながら立ち会ってくれたので、勇気が湧いた」と話しています。

 網走税務署から島田さんに調査の連絡があったのは8月に入ってから。平成26(2014)年から平成28(2016)年の3年間の調査が通知されました。
 島田さんは、18年ほど前に調査に入られたことがありました。その時はあまりの忙しさに対応することができず、帳簿や領収書などの書類すべてを調査官に渡したところ、売り上げや経費を推計され、600万円以上の消費税が追徴に。それに伴って所得税や国民健康保険(国保)料や町道民税もはね上がり、合わせると追徴額は2000万円ほどになりました。毎月、資金繰りに苦しみ、仕入れ代や税金の納付などで約700万円を払った月もありました。
 1人で対応して多額の税金が追徴になったという苦い経験から「今回は書類は預けず、納得するまでは、絶対に押印しない」と腹をくくりました。
 今年から帳簿の整理や経費の仕訳をしていた香織さんは、3年間の帳簿を見直すとともに、これまで経理を担当していた父親からも話を聞き、事務局員と相談しながら必要書類をそろえました。
 「自主計算パンフ」を受け取った香織さんは家に持ち帰り、夫婦で「納税者の権利」や「税務調査10の心得」を学び、日程を調整して調査に臨みました。
 1回目の調査は8月17日に行われ、支部役員が立ち会おうとしたところ、調査官は「守秘義務が守れない。このままでは調査を始めることはできない」と退席を要求。役員は法的根拠を示すことを求め、島田さんも「立会人はいてもらわないと困る」と抗議し、立ち会いを認めさせて調査を開始させました。
 調査の途中で「平成27年の消費税の課税業者かどうか調べたいので平成25年分を見せてほしい」と言われましたが、「調査は3年分ではないのか。事前通知になかった」と毅然とした態度を示し、理解できないことは、説明を要求し、記帳などの指導も求めました。
 3回にわたって調査が行われ、最後は電話で調査終了の連絡を受け、「是認」通知書が送られてきました。
 島田さんは「前回の失敗から税務調査の連絡が来た時点から民商に相談して的確なアドバイスを受けることができた。役員からも励まされ、断固として屈しない姿勢で調査を乗り越えられた。家族だけで対応せず、本当に良かった」と喜びを民商の仲間に伝えました。

全国商工新聞 2017年12月4日付

自分でできる初めての確定申告
記帳・決算も民商が応援

 あっという間に年の瀬を迎え、来春の確定申告がちらちらと気になり始めていませんか。全国に566組織ある民主商工会(民商)では、自営業者が集まり、「自主計算パンフレット」(別項)をテキストに、教え合いながら「自主記帳・自主計算」を進め、「納付すべき税額」を自分で確定。「確定申告も民商だから安心。民商に入って良かった」と喜ばれています。

消費税の計算法など 身に付く申告学習会
片山 国治さん=建築

 「自分で初めて確定申告をしてみて、国保(国民健康保険)や住民税の高さにびっくりした」
 こう話すのは、滋賀県長浜市朝日町で「リノ工房」を営む、片山国治さん。昨年5月、14年間サラリーマンとして勤めた工務店を退職し、思い切って独立しました。屋号は、建物の増・改築や用途変更など資産価値を高める大規模な改造を意味する「リノベーション」からとっています。「より質の高い住まい作りのため、施主さんと顔を合わせ、一つひとつ要望を聞きながら共に作り上げたい」との思いが込められています。
 民商には、サラリーマン時代の仕事で世話になった、信頼できる大工の会員から「独立するなら民商へ」と誘われ、「自営業のことは全く分からないし、申告などもあるから」と入会しました。
 昨年末、全4回開かれた民商の申告学習会にフル参加。先輩や事務局員から「イチから全部教わって」、パソコン会計に入力し、初めての申告を無事終えました。「サラリーマンのときは、所得税も住民税も全部天引き。税金の負担はほとんど意識してこなかった。しかも、健康保険や年金は半額負担。自営業だと、全額自己負担だから、こんなに払うの!? と嫌でも意識する」と片山さん。
 仕事は順調。住宅だけでなく、車庫の新築など何でも引き受けています。来年の確定申告に向け、レシートや領収書をノートにこまめに貼り付け、お正月休み、一気に入力する予定です。
 「来年5月で創業2周年。いよいよ消費税もかかってくる。年末の申告学習会では、消費税の計算方法なども勉強したい」と話しています。

権利守る民商に誇り 個人番号強要やめて
中本 秋夫さん=クリーニング

 民商に入会して50年。自主申告を貫いています。
 商売を始めたころ、「税金のことなら税務署に聞けばいい」と思って軽い気持ちで、確定申告の相談に行きました。すると、署員が勝手に電気代から売り上げを逆算して申告書を作成しました。何も反論できず、言われるがまま印鑑を押して申告をしてしまい、税金が跳ね上がりました。
 当時の会長に相談して事務局員と一緒に計算をし直すと税金は10分の1になりました。その後、不服申し立てをして2年かかりましたが、私の主張は認めさせることができました。
 以来、「自分の申告は自分で計算する」ことに徹し、3・13重税反対全国統一行動にも毎年、胸を張って参加しています。「頼りがいのある仲間がこんなに大勢いる」と心強く思っています。
 今年の確定申告からマイナンバー(個人番号)を書く欄が設けられてびっくりです。事業者から「番号が漏れたらどうなるのか」「従業員の番号の扱いはどうしたらいいのか」など不安の声が上がっています。しかし、国はその声を無視して個人番号の記載を納税者に押し付けています。こんなことは許してはいけない。
 マイナンバー制度に反対し、来年も仲間と一緒に自主申告を貫き、納税者の権利を守っていきたいと思っています。

パソコン会計に挑戦 経営の中身分かった
菊元 悦子さん=ペットショップ

 広島県福山市引野町で「ペットショップキクモト」を営む、菊元正さんと悦子さん。この春、民商でパソコン記帳に初挑戦し、納得のいく青色申告ができました。ギリギリまで掛かったので、来年は余裕を持って対策を立てようと、11月から再びパソコン記帳教室に通い、準備を進めています。
 悦子さんが、母・益子さんと民商を訪れたのは1月。今まで税理士に頼んでいましたが、自分でやってみようと地元の官制商工会に相談。「パソコンも持ってないのに、できるわけがない。もう一度、前の税理士に頭を下げて頼みなさい」と言われ、ショツクを受けました。
 以前、知人から聞いていた民商に相談すると、「パソコンなら、ここのを使えばいいよ」と言われ、すぐに入会。パソコン教室に参加し、教室のない日も事務所に日参し何とか完成させました。
 「以前は税理士に任せっきりで、経営の中身がよく分からなかった。自分で記帳すると、経費の使い過ぎが数字でハッキリと分かり、無駄を省けるように。経営や子育てのことも気軽に話せ、小さい子を抱えて、どうしようと悩んでいたら『事務所に連れてくればいいよ。誰かが見てあげるから』と言われ、安心した」と悦子さん。
 所属する東2支部の歓迎会で役員や班の仲間と打ち解け、班長を引き受けることに。仲間が毎月、民商の会費を店に持ち寄り、「その都度、商売や子どもの話で盛り上がるのが楽しい」とも。
 「独立を考えている知人に『記帳や申告だけでなく、開業融資や経営まで勉強できるから、民商がいいよ』と声を掛けています。もっと多くの人に民商を知ってもらいたい」と笑顔で話します。

積極的な活用を 自主計算パンフレット

 全国商工団体連合会(全商連)が毎年11月に発行するパンフレット「日常的な自主計算活動を」(2018年版はA4判52ページ、カラー)。「自主申告から納税者の権利までしっかり分かる」と活用が進んでいます。
 2部構成で、第1部は「変えよう日本の税金」。2019年10月から消費税の10%増税が狙われる中、税金の集め方と使い方を正す世論と運動を提起。憲法に基づく税制・社会保障のあり方を提案し、10%増税と同時に予定される複数税率、インボイス(適格請求書)導入を実施させない運動を呼び掛けています。
 第2部の「記帳・申告を仲間と学び、経営に役立てよう」では所得計算の仕方、所得税の確定申告、消費税の仕組み、消費税対策の注意点を解説。「税務調査についての10の心得」「税金・社会保険料の滞納処分から身を守る10の対策」も掲載しています。

全国商工新聞 2017年12月4日付

帳簿を祖母から孫へ パソコン記帳学び受け継ぐ
=長崎・島原民商

 祖母から孫の代へと帳簿をバトンタッチ―。長崎・島原民主商工会(民商)は4月12日、パソコン教室を開き、森崎良枝さん=建築資材卸=が初めて参加しました。
 1月に夫の祖母・次子さんから帳簿を引き継いだばかり。手書きで帳簿を付けていましたが、日々の取引が多いことから「簡単にできないか」と悩んでいたところパソコン教室があることを知りました。
 会計ソフトを使い期首科目残高登録から入力。その後、現金出納帳、預金関係を少しずつ入力しました。「パソコン記帳を覚えると経営にも役立つ。決算が11月なので、今年はパソコンで数字を出せるようにしたい。頑張って来月も来ます」と張り切っています。
 2年前に結婚した良枝さん。夫・善博さんは善徳丸商店の5代目の後継ぎです。店は創業1929年の老舗で、創業当時は建築資材を船で運搬していました。
 現在は浄化槽点検と水道管工事にシフトさせながら90年近く続く店を守り、事業を発展させてきました。「帳簿を引き継いでくれて本当に良かった。若い二人で店を盛り上げてほしい」と次子さんは喜んでいます。
 民商では「パソコン記帳を覚えたい」という会員の要求を取り上げ、1年ほど前からパソコン教室を毎月開いています。「パソコン記帳でラクラク、自主計算は資金繰りにも力を発揮する」と呼び掛けて参加者を募っています。

全国商工新聞 2016年5月30日付

記帳学び経営改善=沖縄民商

比嘉真人さん・自動車整備・販売

 父親の急逝により、沖縄県中城村にある「オートガレージ真」の経営を引き継いで12年。比嘉真人さんは「これまでは丼勘定で、経営を続けてこられたのは本当にラッキーでしかなかった」と振り返ります。
 3年ほど前から、顔見知りだった中城支部の比嘉剛支部長に誘われ、民商の支部の集まりで自主記帳、自主計算を学び始めました。
 「支部長から”この計算おかしいよ。この数字なら、ポルシェに乗れるぞ”と指摘され、”そこまでもうかってはいないけど、計算は間違ってない”と言い合ってた(笑)。土地、建物も自前だし、手元に現金もあるから”そこそこいい経営”をしていると過信し、一昨年まで国民健康保険税をマックスで支払っていた」
 しかし、学んでいくいうちに「経営のリアルな現実が分かって、怖くなった」と言います。
 「クルマ屋なんで、仕入れと売り上げが単純に出ない。一番大きいのは税金の立て替えで、たとえ手元に10万円あったとしても、本当に残るのは1万円とか1万5000円だと気付いた。以前、自分が思っていた数字の何分の一でしかなかった」
 今年の確定申告でようやく経営状況がつぶさにつかめるようになったという比嘉さん。設備投資すべきかどうかなど「経営の駆け引きがコントロールできるようになった」と話します。
 今では同業者が心配で「ちゃんと自主計算やらないとダメだよ」と声を掛けているという比嘉さん。「なんでも相談会」のチラシのポスティングなど、できる範囲で民商を増やす活動を手伝っています。

全国商工新聞 2016年4月18日付

自主記帳で経営が見えるよ=広島・福山民商

天気や曜日も記録し、販売ロスを軽減 課題見つけ目標明確に

 2014年に市内でベーカリー「Um Por Um(ウンノポーウンノ)」をオープンした広島・福山民主商工会(民商)の杉之原里奈さん。生地からソースまで、すべて手作りで「自信を持ってお客さんに食べてもらえるパン」にこだわりながら営業しています。
 小学生のころから「パン屋さん」になることが夢だったという杉之原さん。18歳からベーカリーで働いて経験を積み、念願のお店をオープンしました。旅行で訪れたパリの雑貨店をイメージしたという店内は、全面ガラス張りの窓から差し込む自然光が白基調の壁に反射し、優しく客席を包みます。
 お客さんと会話ができるようにとオープンキッチン風に作られた作業場の前のカウンターには、色鮮やかな野菜を挟んだサンドイッチなど65種類のパンが並びます。
 民商に入会したのは2015年。申告を通じ記帳の重要性を実感し、いまは売上・仕入・経費の集計が一目で分かるように工夫して日計表を付けています。
 「天気」や「大口注文」の欄を設けているのもポイント。「火曜日の雨の日は売り上げがどれくらいだったか」など参考にすることで販売ロスを軽減し、「大口注文」を記録することで、毎年どの時期にどんなイベントがあるか予想が立つようになりました。「課題を見つけ、目標を明確にできる帳簿は、税金対策にも経営対策にも絶対に必要」と、自主計算を経営に生かすことに手応えを感じています。

全国商工新聞 2016年3月21日付

第4金曜に開催し楽しく学び合おう
=岩手・一関民商

「法人決算も自主記帳・自主計算を追求しよう」―。岩手・一関民主商工会(民商)は10月23日、「法人決算学習会」を開き6人が参加しました。
 1回目に続き、講師を務めたのは伊藤静子税金対策部長=建築。「本気で商売繁盛をめざすのなら経営者自身がお金の流れを十分に把握しておくことが必要。そのためには、法人決算も税理士に一任するのではなく自主記帳・自主計算を進めていくべき」と強調し、「楽しく明るく学び合いましょう」と呼び掛けました。
 この日は「誰でもできるパンフ」を活用し、期末での決算整理について学習しました。伊藤部長がパンフレットに基づいて棚卸しや減価償却、売掛金・買掛金の確定などの基本的なルールを説明した後、参加者が分からないところを質問しました。特に質問が集中したのは減価償却の計算と費用の繰り延べについて。参加者の実例を基にして実際に演習して理解を深めました。
 上田昌江さん=電気工事=は「不安だった未払い費用の処理方法が分かってうれしい。法人決算は難しいと思っていたけれど、やる気になればマスターできそう」と自主計算・自主記帳に手応えを感じていました。佐藤春子さん=建築=も「具体的な事例が出されてとても分かりやすかった。申告書が作成できるようになりたい」と語っていました。
 民商では毎月第4金曜日に学習会を継続し、申告書の作成・提出することをめざすことにしています。

全国商工新聞 2015年11月23日付

法人部会で毎月開催し明細書の仕組み理解=広島・福山民商

 広島・福山民主商工会(民商)は10月20日、法人部会を開催し6人が参加。「誰でもできるパンフ」を活用して学習しました。
 法人税申告書の別表4「所得の金額の計算に関する明細書」の仕組みについて学習。決算で出た利益をもとに、法人税の申告で損金に認められないもの(経費で支払った法人税や法人市県民税など)や、会計上収益になっているが申告で収益にならないもの(受取配当金の一部など)を計算して「所得」を算出し、それに法人税率を乗じて税額が決まることを学びました。
 参加者は「今まで別表を見ても何が書いてあるのか分からなかったけど、丁寧な説明と解説で理解できた」「来月は申告なので、自分で書いてみる」など感想を語りました。
 パンフを使った法人部会学習会は小法人の会員が集まって学習し、申告する力を身に付けることを目標に毎月行っています。

全国商工新聞 2015年11月23日付

PC記帳習得し 自分で決算できた=広島・三原

広島・三原民主商工会 兼森裕子さん

 広島・三原民主商工会(民商)は「記帳を覚えたい」「自分で決算をしたい」という仲間からの要求に応え、自主記帳・自主計算活動を進めています。6月末に決算・申告を終えた兼森裕子さん=自動車関連=の手記を紹介します。
 民商で法人決算をするようになって3年目、今年はパソコン記帳に本格的に挑戦しました。
 「ゴールデンウイークに集中して入力するぞ」と思っていましたが、思うようにはかどらず、6月になってようやくパソコンに向かい始めました。しかし、1カ月分の収支がなかなか合わず、日中は仕事もあり、集中することができません。
 完成目標を6月25日と決めたものの時間がとれず、煮詰まっていた時に寺田拓也事務局長が「民商の事務所に来ませんか」と声をかけてくれました。
 民商の事務所に通い、何度も心が折れそうになる中でパソコンに向かう日々。気が付くと目標にしていた25日になり、さらに集中力を高めました。
 そうした中で通帳の収支が合い、売掛金を合わせる作業も楽しくなり、「要領をつかんだ」と思い、「この勢いで買掛金を合わせよう」と一気に入力。ところが貸借が反対になっていたことに気づき、ショックを受けました。
 気を取り直して入力ミスを修正し、ようやく収支の計算が完了。消費税の計算や決算別表を作り、最終日の6月30日に無事、提出することができました。後日、パソコンで打ち出された総勘定元帳を見た時は、「やった」とこれまでの努力が実を結んだことを実感しました。
 パソコン記帳は日々、入力すれば月々の事業収支も把握できます。今年度は早速、入力を開始して月々の経営の分析を行い、毎月の記帳学習会にも参加したいと思います。

全国商工新聞 2015年8月3日付

経営改善の交流会に
自主記帳セミナー=新潟・魚沼

 新潟・魚沼民主商工会(民商)塩沢支部は6月11日、南魚沼市内で「第2回自主記帳セミナー」を開き5人が参加しました。参加者が持参した「日計表」をもとに、お互いの経営実態を出し合うことで、経営改善の交流会にもなりました。
 何度も記帳会に参加しているベテラン会員のKさん=旅館=は「発生主義といって、請求書・納品書をもとに、記入していくんだよ」とまだ慣れない参加者にアドバイス。区切りの良いところでは「どう、もうかってる」「もう少し、客単価を引き上げることを検討した方がいいね」「結構、経費も掛かっているね」など話し掛けながら参加者を安心させていました。
 また、自らの経営理念を語り、商売に生きる情報交換も行うなど、教え合いながら記帳を進めました。
 初めて参加したYさん=旅館=は「来年こそは、息子夫婦に事業を引き継ごうと考えているの」と話し、「そのためにも自分の会社の経営をしっかりつかんでおかなくっちゃ」と張り切りながら学習を進めました。
 今年から経営を任され、前回から記帳セミナーに参加しているTさん=旅館=は「書類をもとに、日計表にこうして記載していくことで、自分の経営実態が手に取るように分かる」と、経営に強くなる喜びを語りました。
 参加者は記帳によって経営をつかみ、自社の弱点や課題、強みを発見することが自らの生業や仲間の営業を守る大きな力になると実感。N支部長は「次回はもっと、経営に役立てるセミナーにしよう」と意欲満々です。

全国商工新聞 2015年7月20日付

法人決算も自主記帳で
17年続く集団申告=茨城・鹿行

 茨城・鹿行民主商工会(民商)は5月29日、法人会員の集団申告を行いました。11人が参加し、潮来税務署に申告書を提出しました。
 Tさん=鉄工=は「消費税増税には憤りを感じている。みんなで申告をすると勇気が湧き、もっと頑張ろうと思える」と話し、Iさん=管工業=も「1人だと不安を感じるが、同じ法人会員がいるから心強い」と語っています。
 民商では法人部会が中心になって相談会などを開きながら、法人会員が日々の帳簿付けから集計表や決算書作成までを自力でできることを目標に掲げ、みんなで記帳や申告実務を学び合っています。また、消費税が中小業者の営業を押しつぶす不公平な税制であることなどを学び、自主記帳・自主計算の力にしています。
 法人会員が集団申告をするようになったのは17年ほど前から。請け負い克服についての提起を受けて役員会で討議し、法人部会を立ち上げることにしました。それ以降、毎月法人会員が集団申告をするように。現在、74人の法人会員が参加しています。長年の取り組みが実を結び、会計ソフトを操作して決算ができるようになった会員もいます。
 こうした取り組みを通じ法人会員が日常的に民商活動に参加。3・13重税反対全国統一行動にも法人会員が積極的に参加し、民商会員の約8割が統一行動に参加しています。
 会長=書店=は「法人会員も民商の仲間、自主記帳、自主計算・自主申告を貫くことが大切。さらに運動を発展させたい」と話しています。

全国商工新聞 2015年6月15日付

民商で学びバッチリ
パソコン決算に初挑戦=愛知

 「パソコン会計で初めて決算ができた」と喜びを語るのは愛知・中民主商工会(民商)会員で畳店を経営するSさんです。昨年の4月からパソコン会計に挑戦。民商で毎月開催している講習会で、パソコン入力や簿記の学習を重ね決算書を作り上げました。
 初めて間もないころは、「講習会で学習したことを家でやってみようとしては分からなくなり、また学習の繰り返しだった」と話すSさん。繰り返し民商で質問し、粘り強く学習に取り組みました。そのかいあって、一つひとつの作業が何をしているのか徐々に分かるようになり、仕訳などの登録方法も覚え効率よく入力できるようになりました。
 入力した内容が本当に合っているのか残高試算表の見方やチェックのやり方も教わり、簿記のことも少し分かるようになりました。パソコン会計ができるようになり決算もバッチリです。
 「いままではエクセルで集計したものを打ち出し、損益や貸借は計算機を使い計算していました。どうしても計算間違いや書き間違いがあり、数字がなかなか合わずに膨大な時間をとられていた」というSさん。民商でパソコン会計を学習し、会計作業が楽になりました。「民商の講習会では、一つひとつ意味を説明しながら理解するまで何度でも教えてくれるので本当に安心。ぜひいろんな人に紹介したい」と語っています。

全国商工新聞 2015年2月23日付

婦人部の記帳会で自信・数字つかみ
経営改善=石川・小松

石川・小松民商 杉元聡子さん

 石川県小松市の山間部の田舎で、夫がバイク屋を開業し今年で8年目になります。
 リーマンショックが起きた6年前、経営が傾き始めました。経営のあり方から立て直す気持ちで私も店に入る決意をしました。民商からアドバイスをもらい融資も実現しました。
 それまでは、夫が一人でお店を仕切っていたので、経理までは手が回らず、毎年、確定申告当日まで領収書の貼り付けや計算をしていました。間違いも多く、今思い返すと損をしていたのではと思います。
 私は今まで経理の仕事をしたことが一度もなく、これまでの店の経営内容を把握することもできず悪戦苦闘していました。そんなとき、婦人部に入り、月に一度の自主記帳会に参加するようになりました。
 自主記帳会では婦人部の仲間とたわいもない会話をしながら一緒に記帳していくことで、自営業者の妻ならではの悩みや笑い話を共有でき、経理や事務処理に対する重たい気持ちを軽くしてくれました。
 自主記帳をすることで、経費などの数字もはっきりつかめます。自分たちに今何が必要なのか、これから先どういう経営をすれば売り上げが上がるのかなど、夫と話し合い、対応していけるようになってきました。
 民商で税金の話や、経営のアドバイス、いろいろな業種の話を聞いたりして、私たちの意識も少しずつ変化してきました。これからも、民商や婦人部の仲間と切磋琢磨し、励まし合い、頑張っていければいいなぁと思っています。

全国商工新聞 2014年7月14日付

経営見直し パソコンで自主記帳=兵庫県

 兵庫・相生民主商工会(民商)婦人部の松尾愛さんは、5年前から夫が経営する電気工事店の経理を担当しています。民商のパソコン教室で記帳を進め、「夫婦で商売と向き合えるようになった」と喜んでいます。松尾さんの手記を紹介します。
 私がパソコン教室に通うようになったのは、領収書の整理などが大変で、「パソコンで何とかしたい」という思いからでした。
 それまで、レシートや領収書を仕訳し、月ごとに書き出して電卓をたたいていました。計算に追われるばかりで、売り上げや利益を気にするどころではありませんでした。計算間違いも多く、何度計算しても合計が合わず、記帳が苦痛に感じていました。
 そんなとき、民商から「パソコン教室に参加してみれば」と声をかけられました。
 パソコンで作業をするようになってから、日付、科目、金額などを入力すれば、自動で整理されることに感動。今まで帳簿に見向きもしなかった夫も、パソコンで計算された帳簿を見るようになり、「今月は、道具を買いすぎたな」「従業員もいるし、黒字になるように頑張らないと」と、一緒に経営を見直すことができるようになったことが、とてもうれしいです。

全国商工新聞 2014年3月31日付

簡易帳簿で対策強化=宮崎・日向

 宮崎・日向民商が昨年から力を入れてきたのが、記帳義務化対策として新たに作製した「簡易帳簿」を活用した自主記帳・自主計算活動です。簡易帳簿にはあらかじめ勘定科目が書いてあるため、必要な欄に日々の取引金額の合計を記入すればよく、白色申告者からは「これで安心」と大好評。班での学習を通じた自主記帳・自主計算の活動が広がっています。
 参加者は「簡易帳簿は勘定科目があらかじめ書かれているので、迷うことなく記帳でき、月ごとの集計も簡単。記帳義務化にも慌てることもなく対応できる」と話しています。

全国商工新聞 2014年1月20日付

学習会で記帳に自信=茨城・日立

 茨城・日立民商の記帳義務化対策の記帳学習会には、計4回で54人が参加しました。
 家業を継いだ若手の夫婦や事業承継を考える業者青年、ベテラン会員や業者婦人など世代を超えた顔ぶれが集まり、「自主記帳に自信が持てた」と魅力が広がっています。
 民商作製の『自主計算ノート』で仕訳や集計方法など実践的な学習を進め、白色申告の会員=塗装=は「知りたいことが理解できた」と今後の記帳に自信をのぞかせていました。税務調査の経験のある参加者から「帳簿付けをしていたので税務署に経費を認めさせた」と自主記帳の大切さが語られました。

全国商工新聞 2014年1月20日付

パソコン会計で青色申告=大阪・堺北

堺北民商青年部長 中山雄一さん

 大阪・堺北民商の民商青年部長・中山雄一さん=中古テレビゲーム卸=は、パソコンを活用した複式簿記による自主記帳・自主計算に取り組んでいます。節税対策や経営分析など、パソコン記帳の魅力を語っています。
 民商事務所の2階には会員がいつでも利用できるパソコンが5台あります。私は開業当初に民商に入会し、自主記帳をしています。
 個人の青色申告で、65万円控除をとって節税をしています。パソコン記帳の魅力はそれだけではありません。商売の状況を数字で把握でき、経営対策を考えることができます。
 毎月の売り上げの推移や経費の科目ごとにいくら費用がかかったのかが一目瞭然。売り上げの増減が生じている理由を分析し、良かった点はさらに伸ばす努力をし、悪かった点は早急に改善の手立てをすることができます。経営向上の大きな力になっています。

全国商工新聞 2013年11月11日付

記帳学び経営力アップ=新潟

 2002年に元請け会社から独立した尾崎英樹さん=防水。消費税申告の仕方が分からず困っていたところ、両親に勧められ、同年2月に新潟民商に入会しました。
それまで個人の白色申告でしたが、材料の仕入れや機械の導入などでメーカーと直接取引するため、入会を機に法人を設立しました。
同時に、複式簿記で記帳したいと、8支部合同の記帳学習会に参加。学んだ記帳が融資獲得や経営対策に大きな力を発揮します。
従業員を増やすための運転資金と、車両や超速硬化ウレタンスプレー購入などの設備資金を得るために、この間2回、融資を申し込みました。試算表を基に銀行と交渉し融資を実現させました。仕事が少ない冬の時期でも、目標の利益を確保するために試算表が役立っています。
妻の優美さんは「記帳学習会は記帳が覚えられるのはもちろん、さまざまな業種の人と交流ができるので本当に楽しい」と意欲的。10月からの松浜支部の記帳学習会にも積極的に参加しています。

全国商工新聞 2013年10月21日付

記帳義務化 14年1月~ 自主記帳で対策強化=新潟

 2014年1月からすべての中小業者に記帳・帳簿などの保存義務が課せられます。その対策として民主商工会(民商)が進めている自主記帳・自主計算活動は、帳面付けの基礎が学べ、経営の向上にもつながり、営業と暮らしを守る力となっています。
 新潟民商が進める自主記帳の学習会が「帳面に自信がもてるようになった」と好評です。昨年から始めた「自主記帳学習会」。今年は4月から6月にかけて計8回開催しました。来年1月からの記帳義務化に伴い、「自分で帳面を覚えたい」という会員の要求からスタート。毎回20人ほど、延べ142人が参加しています。
 参加者の業種や申告形態は個人、法人さまざま。記帳がよく分からない人やほぼ自主記帳ができる会員など習熟度はぞれぞれですが、「基本から記帳が学べる」「集まってアドバイスし合い、納税者の権利意識も高め合える」ことが大きな魅力です。レシートの整理すらできなかった塗装業の会員も「必要な帳面というものが分かった。これからもチャレンジしたい。自信を持って来年の申告に行けそう」と意欲を見せています。
 学習会は、週1回のペースで開いています。(主な内容は表参照)。

全国商工新聞 2013年8月19日付

民商の記帳学習 確定申告も経営対策も安心=兵庫・葺合民商

 神戸市中央区の大安亭市場前で、青果卸小売業「あめや商店」を昨年2月にオープンした、上野核さんと妻・聡美さんは初めての確定申告を迎えます。
 開業と同時に入会した葺合民商の記帳学習会で自主記帳・自主計算を学び、「確定申告は大丈夫。経営分析にも役立っている」と口をそろえます。
 以前に勤めていた青果店から独立開業しました。日々の記帳に対する不安を感じ、昨年4月から民商の記帳学習会に参加を始めました。
 領収書の整理方法や、一つひとつの経費がどの勘定科目に当たるのかなど、不明な点はその都度、相談しながら学んできました。
 今では、手の空いた時間での記帳を心がけ、忙しいときでも自主記帳が定着するほど、熱心です。帳簿を参考にして仕入れや売り値も綿密に考えるなど、経営対策に自主計算を生かしています。「経営は少しずつ上向いてきた。民商に入って本当に良かった」。2人の実感です。

全国商工新聞 2013年2月25日付