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  トップページ > 活動のページ > 全国商工新聞 第3094号11月4日付
相談は民商へ
 
3.13重税反対全国統一行動実行委員会
 

8省庁と交渉 業者の要求実現へ 各省庁が回答=全中連

 全国中小業者団体連絡会(全中連)は臨時国会の本格的な論戦が始まった直後の10月21日、経済産業省・中小企業庁、国土交通省など8省庁と交渉、業者の置かれた深刻な実態を告発するとともに、切実な要求の実現を迫りました。

生存権や商売を守る積極的回答引き出す
 交渉には全国から約100人が参加しました。参加者はそれぞれの省庁で「消費税が8%に増税されれば、商売はやっていけない」と、来年4月に予定されている消費税増税の中止を強く要求。同時に、「(被災地で)仮設店舗から本設店舗に移る際、新たなグループ補助申請すれば補助対象にする」(中小企業庁)、「(税の徴収において)生存権を脅かすことは断じて許されない」(総務省)、「(社会保険未加入について)未加入者に対して機械的に行政処分を行うものではない」(国土交通省)などの積極的な答弁を引き出しました。

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省庁交渉に向けた幹事会であいさつする国分代表幹事

国会内で集会開く
 交渉に先立って国会内で行われた幹事会では、全中連の国分稔代表幹事が「憲法では、“日本国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動する”とある。(消費税増税は)安倍首相が一人で決めるわけにはいかない。国民・国会を無視したことは断じて許せない」とあいさつしました。
 国会情勢報告をした日本共産党の倉林明子参院議員(京都選挙区)は、消費税増税、TPP参加、原発再稼働、憲法改悪などの暴走政治は、進めれば進めるほど国民の反発は広がると強調。「大義と道理を掲げて暴走政治にストップをかけたい」と決意を語るとともに、21人の国会議員の賛同が得られれば、消費税増税中止法案を国会に提出できるとし、増税反対の世論を広げようと呼びかけました。

震災グループ補助「再活用にも交付する」=経産省

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中小業者に目を向けた政策をと経済産業省に要望する参加者

 経済産業省・中小企業庁交渉には、橋澤政實全中連代表幹事ら16人が参加しました。
 震災復興にかかわって宮城の参加者は、(1)グループ補助金を受けた仮設店舗入居の事業者が、本設店舗に移る際の支援策(2)13年度内にグループ事業完了の見通しが立たない事業者に対する予算の繰り越し手続き-について要望。
 中企庁側は、「本設店舗に移転する際、新たなグループをつくって申請すれば支援する」と回答。また、繰り越し手続きについても「簡素化して再度の交付決定を行い安心して復旧事業に着手できるようにしたい。23年度分についても繰り越しできるよう財務省に働きかけたい」と答えました。

実効性のある転嫁対策求め
 中小企業庁とのズレがはっきりしたのが消費税の転嫁対策の問題でした。
 中企庁側は「中小企業が転嫁できることが重要な課題」とする一方で、「益税という批判もある」「最終的に消費税は消費者が負担するが(消費者から消費税をまけろと言われたら)売らないという手段もある」などという回答も。
 これには参加者からも「消費税は立場の弱い業者にとっては損税で、自腹を切っている」「売らないでどうして商売ができるのか」「中小業者の実態を知っているのか」などの批判が相次ぎました。
 また、下請法違反で裁判を起こしている岡山の業者は「親会社は消費税をまけろというだけでなく、本体価格の引き下げも要求してくる」とし、消費税増税にともなう政府の転嫁対策の欠陥も示し、下請法、独禁法の運用改善も求めました。
 交渉ではこの他、事業者免税点の3000万円までの引き上げ、金融円滑化法の終了に伴う円滑な資金供給、経営改善計画策定に対するきめ細かい支援などを求めました。

強引な返済要求 「金融機関指導」約束=金融庁

 金融庁交渉には菊池大輔・全商連副会長をはじめ、12人が参加。金融円滑化法終了後、金融機関による強引な返済要求が相次いでいる事例をあげ、「中小企業向けの金融を円滑化する」とした中小企業憲章の行動指針に基づき、金融庁として指導することなどを求めました。
 円滑化法を活用し、住宅ローンの返済猶予を2年間行ってきた東京の参加者は、今年に入り、返済猶予の継続を求めたところ、金融機関から「保証会社が拒否している」という理由で拒否され、「実現不可能な額での返済を迫られた」と告発。「『中小企業金融円滑化法の期限到来後の検査・監督の方針』に沿っていない」と、金融庁として指導するよう求めました。
 金融庁側は「金融機関の対応は非常に不適切。説明が足りない」「担当局を経由して、金融機関に要望書を渡し、しかるべき説明をするように促す」と指導を約束しました。
 交渉では参加者が、円滑化法終了後に、「中小企業等金融円滑化相談窓口」を活用して一度断られた融資が実現した経験を紹介し、「相談窓口を継続して行ってほしい」と要望。
 庁は「相談窓口で受け付けた事案は、本人の希望があればすべて金融機関に話して改善を求めている。相談窓口は今後も継続する」と回答しました。

「要望各署に伝える」=国税庁

 国税庁交渉では、改悪国税通則法の下で、法定化された事前通知をせずに無予告調査が行われている問題や、「確定申告についてのお尋ね」などと題する文書を納税者に送付し、調査するから来署せよとする呼び出し文書が乱発されている問題など7項目で要請しました。
 通則法74条の9に基づいて事前通知を文書で行うよう求めている点では、大阪国税局が署員の電話による事前通知の根拠として「財務省組織規則」を持ち出している問題を追及。「規則は納税者を縛るものではなく、通則法の定めに従って署長もしくは文書で通知するのが当然」と迫りました。
 事前通知の例外として無予告調査となる場合は、「なぜ事前通知をしないのか理由を明らかにせねば恣意的に運用されるのではないか」と問題点を指摘。通達で「合理的、客観的判断が必要」という規定があり、納税者が理解できる理由を示すのは当然だと迫りましたが、「寄せられた声や要望は関係各署にも伝えて、対処する」と述べるにとどまりました。

地方税徴収 「個々の事情に配慮する」=総務省

 総務省交渉には梶原志計雄代表幹事ら12人が、地方自治体で広がる強権的な徴収の実態を告発し、是正するよう迫りました。
 神奈川県厚木市の運送業者は、自宅を売却して滞納していた市民税と固定資産税(本税)を完納したにもかかわらず、市の担当者は「まだ払えるはずだ。(運送業者の年金型生命保険は)余分な支出だから延滞金に回せ。差し押さえる」と言ってきていると不当な実態を告発しました。
 他の参加者は、行政が威圧的な文言の「警告書」や「催告書」を滞納世帯に送付し、強権的徴収を進めている問題を追及。「生存権を脅かす徴収が全国で広がっている。憲法にある生存権を守ることが大前提だ」とただしました。
 応対した総務省側は「生存権を脅かすことは断じて許されない。行き過ぎた事例は教えてほしい」「(厚木市の問題については)市や県に話を聞いてみたい」と答えました。
 梶原代表幹事が、(1)児童手当など差し押さえ禁止財産を含む機械的な滞納処分は厳に戒め、納税者の個々の生活実態を十分に把握して丁寧に相談に応じる体制を確立するよう地方自治体に助言すること(2)生存権的財産の差し押さえ禁止(国税徴収法)や納税緩和措置(地方税法)について自治体が適切に対応するよう周知徹底すること-など4項目の要請書を提出。
 係長は「税の徴収は、個々の事情を踏まえるのが大原則であり、(地方自治体に)助言している。皆さんの要望について問題意識を共有している」と答えました。

社保加入義務付け? 「機械的対応しない」=国交省

 国土交通省では公共工事設計労務単価のさらなる引き上げや分離分割、適正価格で地元中小企業への発注率を高めることなどを要望するとともに、建設業者の社会保険未加入問題について追及しました。
 交渉では福岡県が「不正行為等に対する監督処分の基準」を一部改正した問題を取り上げました。「未加入者が指示処分に従わない場合、機動的に3日間の営業停止処分を行うとしている。社会保険未加入は不正行為に当たるのか」と問いただしたのに対して省側は「『不正行為』とは認識していない」と回答しました。
 また、都道府県が社会保険未加入者に「指導書」を送付し、「社会保険部局に通報後も保険加入が認められない場合は行政処分を行うことがあり得る」と明記している問題について「未加入者に対して機械的に行政処分を行うものではない」との見解を示しました。
 また、都道府県建設業課から保険加入指導の苦情が寄せられており、実態については誠意を持って反映することを約束しました。
 参加者は「事業主は従業員のためにも社会保険に加入したいと思っている。しかし、それに見合う単価になっていない。末端の下請け業者まで福利厚生費が確保できなければ未加入問題は解決できない。外枠方式で福利厚生費を確保できる仕組みづくりを」と再度要望しました。
 建設業許可の問題では「社会保険加入を建設業許可の取得・更新の要件にしない」とあらためて回答しました。

社会保険料徴収 分納請願は当然受理=年金機構

 厚生労働省と日本年金機構との交渉には、住江憲勇・全中連代表幹事(全国保険医団体連合会会長)をはじめ16人が参加。
 高すぎる国保料(税)の引き下げを求めるとともに人権を踏みにじるような短期保険証・資格書の発行をやめ、正規保険証を発行すること、売掛金などの差し押さえをやめ、社会保険料の納付猶予の相談に誠実に応じることなどを要望しました。
 埼玉県の代表は、「修学旅行などで子どもが保険証を学校に持参するとき、その色で正規保険証か短期証かが分かり、いじめにつながる」と、正規の保険証を交付するよう強く要望。厚労省側は「資格書・短期証は接触機会を増やすために必要な制度」と、これまで通りの見解を繰り返すだけでした。
 日本年金機構への要請では、三重県の代表が「分納の請願書を持って訪問したが、受理されなかった。請願権の侵害ではないか」と迫ると、「受け取らないのはおかしい。請願法に基づいても受け取るべきもの」と改善への指導を約束しました。
 岐阜県の代表は今年6月以降、民商に社会保険料の強制徴収に対する相談が急増していることを指摘。分納額を決めて納めていたのにもかかわらず、新しい担当者が「この金額では少ない」と小切手を送り返し、抗議しても「年金事務所の今までの対応が甘かった」と開き直った事例を告発。さらに、納付猶予申請書を受け取らないなどの不当な態度への指導を求めました。
 年金機構側は、「猶予申請書は受け取っているはずだ」などと強弁するなど、現場での強権的な徴収の実態を把握していないことが浮き彫りになりました。

駐禁監視 恣意的運用させぬ=警察庁

 警察庁交渉には6人が参加し、「公共性や必要性の高い業務車両には長期の駐車許可証を発行すること」など4項目を要請しました。
 配達中の業務車両に対する駐車違反取り締まり軽減について、警察庁側は「活動ガイドラインに基づき、恣意的な駐車取り締まりはできないようにしている」と発言。運送業を営む埼玉県の参加者は「監視員がビルに隠れて車を見張っており、運転手が離れるとすぐに駐車禁止の紙を貼られることがある」と実態を告発、「これこそ恣意的で悪質ではないか」と改善を迫りました。
 警察庁側は「確かにひどい監視員もいる」と認めた上で、「ノルマ主義にならないように指導は続けていく」と回答しました。
 参加者はまた「駐車許可証が交番でも申請できることを知らない業者、警察官がいるので両面での周知徹底を」「駐車禁止への焦りが事故にもつながる。営業ナンバーは取り締まらないでほしい」と重ねて要望しました。

全国商工新聞(2013年11月4日付)
   

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