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  トップページ> 方針・決議のページ > 主張 > 全国商工新聞 第3309号4月23日付
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建設キャリアアップシステム 技能者の処遇改善に役立つのか

 人口減少と高齢化が進む中、建設業界では若年就労者の確保と育成に向けて、新たな制度が動き出しています。
 その一つが、一般財団法人・建設業振興基金が運営する「建設キャリアアップシステム」です。任意の制度ですが、ICカード(キャリアアップカード)を希望する建設技能者は氏名、生年月日、国籍などの個人情報、保有している資格、社会保険への加入状況を登録します。
 事業者は、建設業許可や納税証明書などで事業者であることを示すとともに、社会保険に関する情報の登録が求められます。従業者のカード情報を読み取り、就業履歴を蓄積するカードリーダーの現場設置も必要になります。
 費用もかかります。一人親方以外の事業者は登録料として5年ごとに最低3000円、資本金に応じて最高120万円が必要です。管理者用IDの取得費用は年2400円ですが、複数の現場が同時進行する場合、それぞれでIDを取得しなければなりません。さらに、就業する人数一人につき3円の「現場利用料」が課金されます。すでに「運用開始初年度で100万人」を目標にカードの登録が始まり、秋にはシステムが動き出す見込みです。
 国交省や制度を推進する業界は「技能者の処遇改善」「現場管理の効率化」が図られると強調します。
 しかし、肝心な能力評価制度は定まっておらず、技能者の経験や資格がシステムに登録・蓄積されたとしても、そのキャリアをどうやって合理的に評価するのか、結論は出ていません。カードを取得しない職人やカードリーダーを設置しない事業者が現場や取引から排除・敬遠される恐れもあります。能力評価が行われることによって職人の選別も起きかねません。
 「建設業の働き方改革」として「週休2日」が推進され、建設業許可の要件に社会保険加入を加える法「改正」の動きも加速しています。
 29歳以下の就業者が約11%といわれる建設業界にとって、こうした施策が、真に技能者の育成に役立ち、処遇改善につながるのかが問われています。

全国商工新聞(2018年4月23日付)
 

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