東京都迷惑防止条例「改正」 自由な市民運動 規制強化の危険
東京都議会に、市民運動や報道機関の取材への規制が強められる危険性の高い「迷惑防止条例改正案」が提出され、3月中にも成立、7月からの施行が狙われています。
「改正」案は、現行の規制に加えて、「みだりにうろつくこと」「電子メール(SNSを含む)を送信すること」「監視していると告げること」「名誉を害する事項を告げること」「性的羞恥心を害する事項を告げること」を新たな規制の対象とし、罰則を重くしています。
提案者の警視庁は、公共の場所などで多発する盗撮行為やSNS送信が規制対象になっていないことを「改正」の理由にあげますが、現行のストーカー規制法で対応可能なものです。
「改正」によって、第5条の2「正当な理由なく、専ら、特定の者に対するねたみ、恨みその他の悪意の感情を充足する目的」という極めて曖昧な要件で、通常は処罰されることのないこれらの行為が処罰されることになります。「悪意の感情」を判断するのは警察であり、「内心」が問題にされれば、自白の強要も危惧されます。しかも、被害者の告訴は不要であり、現場の警察の判断で逮捕が可能です。
会社や官庁向けの行動でも対象となり、市民による国会や街頭での行動が規制される恐れがあります。さらに、大型店出店反対運動、自治体庁舎前の批判集会、報道機関による監視・取材活動、ファクスによる抗議・要請活動など、多彩な行動まで規制が及べば、運動が萎縮させられます。
「改正」案は、憲法が定めた集会・言論・表現の自由、労働組合の団結・行動権を侵害するものであり容認できません。また、憲法94条は「法律の範囲内で条例を制定することができる」としていますが、「改正」は、法律により禁止されていない行為を禁止し処罰するものであり、この点からも許されません。
首都・東京での条例制定は全国に大きな影響を及ぼします。成立が強行されても、7月からの実施をさせない世論を高めましょう。そして私たちの「もの言う権利」を守る運動をいっそう強めていこうではありませんか。
全国商工新聞(2018年4月2日付) |