介護報酬見直し 事業者の経営安定へ引き上げを
2018年度予算編成に関して、社会保障財源を確保し、介護報酬の引き上げを求める切実な声が広がっています。全国老人保健施設協会や日本看護協会をはじめ、幅広い団体が11月中旬に約180万人分の署名を提出したと報道されました。
介護報酬はほぼ3年ごとに見直され、今回は2年に1度の医療の診療報酬改定と重なりました。財務省は、両報酬を一体的に削減する策動を強めています。
前回15年度の介護報酬改定で、安倍政権は過去最大級のマイナスを強行しました。多くの介護事業所が苦境に追い込まれ、倒産・廃業が相次いできました。特別養護老人ホームも、職員を確保できず、新たな開所ができない事態が広がっています。
厚労省が10月に公表した調査結果も介護事業の大半が利益率を低下させ、経営を悪化させていることを明らかにしています。報酬削減と併せ、介護サービスが量、質ともに縮減されています。利用者・家族が負担増を強いられながら、要支援の「保険外し」や訪問介護の「生活援助」制限、「自立重視」の名による介護保険「卒業」が推進されています。「負担あって介護なし」の国家的な詐欺に他なりません。
地域に目を向けると、介護のデイサービスなどが商店街の空き店舗を埋める状況もあります。一方、訪問介護の倒産が急増する中、民商・全商連には介護報酬を差し押さえる過酷な社会保険料徴収への苦悩が相次いで寄せられています。
紹介したいのは、福祉のまちづくりに貢献する民商の取り組みです。例えば、高齢会員の廃業に伴う生活保護・受給で実績を積む中、病院から介護事業所を紹介され、それが契機としてケアマネジャーによる学習会を開催したといいます。そして今では配達弁当や遺品整理で、会員の商売を気軽に活用してもらっていると報告されています。
介護報酬引き上げと併せ、過酷な差し押さえを制限させるために「労働債権」基準を確立させる運動が求められています。介護事業を守り福祉のまちづくりを推進して、仲間を増やす力を高めようではありませんか。
全国商工新聞(2017年12月11日付) |