年末の資金繰り対策 公的融資活用へ仲間に声掛けを
年末を控え、資金繰りの大変な時期を迎えています。
資本力の乏しい中小業者にとって、低利・無担保・無保証人の公的融資制度は、「命綱」ともいうべき存在です。
自治体が信用保証協会、金融機関と連携して設けている制度融資、日本政策金融公庫の融資制度などが利用できます。利息や信用保証料への助成を厚くした年末緊急融資を創設している自治体もあります。また、複数の借り入れを一本化する借り換え融資や既存融資が条件変更中でも新規融資が可能な「条件変更改善型借入保証」制度、創業後間もない事業者向けの「創業融資」などがあります。
全商連が半年ごとに行っている営業動向調査(17年下期)では、今期の経営総合判断DI(景況が「良くなった」から「悪くなった」を引いた割合)は、マイナス41.8%、利益DIもマイナス47.2%で、依然厳しい状況が示されています。こうした背景に、実質消費支出(対前年度比)が消費税を8%に引き上げられた2014年4月以降、48カ月中38カ月で前年割れ、に見られるように長らく続く消費の落ち込みがあります。
アベノミクスの成長戦略の下で、これまで100%保証だったセーフティネット保証制度(5号=業況の悪化している業種に一般保証とは別枠で保証)に、銀行にも損失補てんを求める「部分保証」が持ち込まれ、中小企業の選別・淘汰を進めようとしていることは重大です。信用保証制度は中小企業の約4割(140万社)が利用しており、懸命に営業を続ける中小企業を「もうからない」と切り捨てれば、地域経済はさらに衰退します。
大手銀行を中心に、高金利のカードローン(最大年利息20%)に傾斜している実態も無視できません。
宣伝物や口コミで公的融資制度の優位性を大いに知らせ、地域金融機関とも懇談を進めながら活用を進めることが大事になっています。年末融資の申し込み期限は、多くが11月末となっています。相談会を旺盛に開催し、「年を越せますか」と会内外で声を掛け合い、厳しい年末を乗り切りましょう。
全国商工新聞(2017年11月20日付) |