国保都道府県化で負担増も 制度改善求めて運動を強めよう
国民健康保険料(税)の納付通知書が届き始めました。納付額を見た中小業者・国民から「とても払いきれない」といった不安や怒りの声が広がっています。
東京23区平均で今年の保険料は1人当たり年間7250円の値上げになるといいます。
「消費税が8%に増税されてから消費不況が続き、売上・利益が出ないのに、国保料は毎年のように値上げ。高すぎて払えない」と、保険料が経営と暮らしを圧迫しています。
負担能力をはるかに超える保険料を押し付けられ、やむなく「滞納」する世帯は少なくありません。厚労省の発表では、滞納世帯数は約312万世帯(2016年6月時点)を超えています。保険料が払えず、正規の保険証が取り上げられ、経済的理由で病院にかかれなくなり、治療遅れになって命を落とす悲劇が後を絶ちません。
各地の民商では、保険料の集団減免申請に取り組み、納税緩和措置制度の活用で「払える国保料(税)」への運動を進めています。過酷な保険証取り上げや強権的な差し押さえなど、制裁行政を是正させる取り組みも広がっています。
厚労大臣は国保行政にも「滞納処分の停止を適切に活用」すると答弁し、「市町村に対しても徹底していきたい」と、低所得者に配慮した対応を表明しています。
18年度から国保の保険者は都道府県と市町村になります。従来との違いは、都道府県が国保財政運営を行うことです。この狙いは、都道府県を通じて医療提供体制の見直しと併せて、医療費を抑制することにあります。
国保の都道府県化への対応では、これから夏にかけて、「納付金・標準保険料率」試算結果を公表させて傾向を把握し、市町村長には、試算結果をどう考えるか、被保険者が払える保険料であるのか、払えない保険料であればどうするのか、首長としての考えをただすことも重要です。
社会保障である国保の解体を許さず、いのちと健康を守る国保制度の実現に向けて力を合わせましょう。
全国商工新聞(2017年6月19日付) |