風営法から街のスナックを守る署名 法改正と取り締まり是正の力に
「風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律」(風営法)を根拠に、飲食店の経営者が「客に酒を注いだ」として、突然、逮捕・勾留され、50万円〜200万円もの罰金を払わされる事例が相次いでいます。
3月に起きた神戸市三宮のケースでは罰金に加え、営業停止処分まで行われました。全国商工新聞で京都や札幌での事例を報じてきましたが、これらは氷山の一角に過ぎません。2011年以降の5年間に同法違反で逮捕され身柄を送検された件数は年平均264件、書類送致も含めれば406件に上ります。
摘発された経営者は客の面前で手錠をかけられ、14日から20日あまりも勾留されて、「暴力団との関係」や「外国人の不法就労」など身に覚えのない容疑について取り調べを受けています。まさに人権侵害の不当極まりない扱いです。兵庫県警の警察官は「ママはもう店はできない。あんた店をしたら」と、摘発した店の従業員に語るなど、営業つぶしを自認しているかのような言動を行っています。
「客の隣に座ってお酌する」「カラオケで客とデュエットする」ことが善良な風俗に反する行為として厳罰の対象にされること自体、時代遅れであり、営業の自由を侵害する大問題です。
行き過ぎた取り締まりをやめさせるには、風営法の対象からバーやスナックなどを除外する必要があります。談笑、お酌、カラオケなど、普通の「おもてなし」に当たる行為を風俗営業の許可が必要な「接待」から外すべきです。国会の付帯決議に基づいて警察の職権乱用に歯止めをかけ、「いきなり逮捕」ではなく、指導中心に転換することも重要です。全商連は、こうした切実な要求の実現をめざす「街のスナックを守る請願署名」を呼び掛けました。料飲業組合も風営法改正へ声を上げ始めています。
スナックは「まちの社交場」であり「オアシス」です。楽しく語り合い、歌い、飲んで食べて、明日への活力を与えてくれる場です。大切な役割を果たしている料飲業者の経営を脅かす法律と権力の行使は即刻是正すべきです。
全国商工新聞(2017年5月15日付) |