原発事故から6年 福島切り捨て政治に未来はない
2011年3月11日に発生した東日本大震災から6年が経過しようとしています。
甚大な原発事故被害を受けた福島県では、今も8万人以上の住民が避難生活を余儀なくされています。
放射線によって営業基盤を奪われた中小業者に対する賠償打ち切りの動きが強まり、「事故との因果関係の証明を迫られ、請求額が削られた」「東京電力(東電)の都合の良い経済指標を基に被害は収束したとして賠償を拒否」する事例が相次いでいます。賠償金が課税対象となるため、「所得税や住民税、事業税や国民健康保険税などで賠償金の4割が消える」状況です。
安倍政権は、この現状を顧みず、原発事故の賠償だけでなく、自主避難者に対する住宅の無償提供を打ち切り、住民の不安を無視した避難指示解除と帰還押し付けの動きを強めています。しかも、東電と国の責任を不問にしたまま、福島第1原発の事故処理費用約21.5兆円のうち損害賠償費用の2.4兆円を新電力利用者を含む全国民に負担させようとしているのです。
しかしいま、この悪政転換を求める国民的な運動が新たな局面を切り開いています。
大津地裁は、運転中の高浜原発を停止させる仮処分を決定し、関西電力の異議申し立ては2度とも退けられました。川内原発や柏崎刈羽原発が立地する鹿児島と新潟で再稼働反対の県知事が誕生し、大間原発の建設凍結を求め函館市が訴訟を起こしています。1994年以来1兆円が投じられた高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉も決まりました。福島原発事故を教訓に、ドイツや台湾の政府は脱原発へと舵を切り、ベトナムは日本からの原発輸入を撤回しました。
国と東電に原状回復と慰謝料を求める「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟の原告団は、中小業者など4500人規模へと発展し、3月21日に結審を迎えます。
財界と一体となった安倍政権の原発推進政策は、国民の世論と運動によって確実に包囲され始めています。原発再稼働をはじめ民意を無視する強権政治と、その本質を示す「福島切り捨て」政治に未来はありません。
全国商工新聞(2017年2月20日付) |