日本国憲法公布70年 憲法生かす世論をつくる運動を
11月3日に日本国憲法は公布70年を迎えます。終戦の翌年1946年に、戦後の混乱が続く中で、国民主権、戦争放棄をはじめ、人類の理想ともいうべき崇高な理念を掲げた憲法は、国民から歓迎され誕生しました。
今、国会の衆参両院で改憲勢力が議席の3分の2を占める状況の下、改憲に積極的な安倍政権が憲法審査会の審議再開を狙う動きを強めています。
安倍首相は、先の参議院選挙で憲法「改正」について一言も触れずに多数の議席を得ました。しかし、臨時国会冒頭、「だまし討ち」のように、憲法審査会で議論を進めることを表明したのです。自民党がめざす憲法は2012年に同党が発表した「日本国憲法改正草案」に示されています。憲法9条2項を廃止し、自衛隊を国防軍に変え、基本的人権は「人類永久の権利」であると明記した97条を削除するなど「復古色」の強いものになっています。
憲法は国家権力を縛るものです。自民党の改憲案は個人の基本的人権を奪い、立憲主義を破壊するものです。自民党は「改憲草案」について「歴史的公文書」であると確認し、撤回するつもりはないと、事実上これをベースにする考えであることを表明しました。一方、安倍首相は「合意形成の中で特定の党の主張がそのまま通ることはないことは当然」と発言し、議論を進めさせようとしています。
「憲法改正」を求める世論が国民多数の中にあるわけではありません。戦後、日本国憲法の下で、戦争によって一人の外国人の命を奪うことも、一人の日本人の命を失うこともなかったことに示されるように、平和憲法が果たしてきた役割が国民に支持され、広く行きわたっているからです。
全商連は、憲法を守り生かすたたかいを、あらゆる局面で強めることを総会方針で提起しています。憲法違反の戦争法によって「駆け付け警護」など新たな任務を自衛隊に付与する策動をやめさせ、国民が希望の持てる経済社会を実現するためにも、現憲法を守り生かす世論をつくる大きな運動が急がれています。
全国商工新聞(2016年10月31日付) |