TPP臨時国会で審議始まる 国民的共同を広げて必ず廃案に
環太平洋連携協定(TPP)承認案と関連法案の審議が14日、衆院TPP特別委員会で始まりました。安倍首相は「TPPは大きなチャンス」として、今国会で批准する意思を表明。一方、野党は批准阻止で足並みをそろえ、二つのウソ―農産物重要5品目の関税撤廃は認めないとする国会決議違反や、TPPの効果を過大に描き、食・農・地域経済への打撃を小さく見せる試算根拠などを徹底追及する構えです。
TPPは農林水産業はもとより中小業者に関わるモノやサービス、労働、安全の規制緩和などあらゆる分野に影響を与え、地域経済を破壊します。15日には「TPPを批准させない!全国共同行動」が主催する中央集会・デモ(東京都内)が8000人規模で開かれました。強行採決を許さない国民的な運動が求められています。
とりわけ今、問題になっているのが、輸入米の価格偽装です。「輸入米の国内販売価格を国産米と同水準にする」という大前提が崩れました。安い輸入米による国内農業への影響を防ぐため、国は「売買同時入札」(SBS)と呼ばれる制度を採用。商社が調達した外国産米を国が買い取り、価格調整のための“輸入差益”を上乗せし卸業者に売り渡してきました。ところが実際には、商社が輸入価格を実際より高く偽装し、卸業者にリベートを渡す行為が横行していました。
政府は「国産米への影響はない」としていますが、最大1`当たり60円程度、国内米より安く流通していた可能性があるとされます。現行のSBS米は10万dで、TPPの追加輸入枠は7・8万d。安い輸入米は国産業務米の価格低下を招き、家庭用米の価格低下も引き起こします。
TPP批准をめぐって、アメリカでは民主、共和両党の大統領候補がそろって反対し、ベトナムは批准を見送りました。
農水省はコメの価格偽装問題を知りつつ、2年間も放置してきました。TPP試算と政府への信頼が根幹から揺らいでいる以上、TPPを強引に進めることは許されません。試算のやり直しとともに、TPP協定批准、関連法案の廃案を求めます。
全国商工新聞(2016年10月24日付) |