風営法で過剰取り締まり 接待基準を見直し法改正を急げ
スナックなど料飲店に突然、警察官が立ち入り、風俗営業法(風営法)違反として経営者などを逮捕・勾留し、多額の罰金を科す事例が相次いでいます。
北海道や京都など有無を言わさず取り締まる過酷な実態が明らかにされています。「お酌して100万円」など重い罰金を科されて廃業する店もあり、「酒店の売り上げが減少」「街が暗くなった」など地域経済への影響も懸念されています。
しかも、立ち入りや風営法には大きな問題があります。
立ち入りは、「表現の自由、営業の自由等憲法で保障されている基本的人権を侵害することがないよう慎重に配慮する」「立ち入りの行使はできるだけ避けることとし、なるべく公安委員会が求める報告又は資料の提出によって済ませる」「行政上の指導、監督、助長のための必要最小限度のものに限定」などを求めた地方行政委員会(衆議院・1984年7月5日、参議院・同年8月7日)や職権乱用を戒めた2015年6月16日参院内閣委員会の付帯決議に反しています。
また、警察庁が定めた風営法の「解釈運用基準」の「接待の判断基準」は、料飲店の営業実態だけでなく、「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止する」という風営法の立法目的からもあまりにかけ離れています。
スナックなど地域の料飲店は、住民同士が交流を広げ、疲れを癒やし、明日への活力を養うなど、「街のオアシス」の役割を果たしています。
客にダンスをさせて風営法違反に問われた民商会員が、幅広い支援を受けて最高裁で無罪を確定させるなど、「時代遅れ」で「商売の自由を奪う」風営法の改正を求める世論と運動が高まっています。全商連が呼び掛けた「警察による飲食店への立ち入り実態調査(料飲街アンケート)」を手に、各地でスナックを訪問・対話する取り組みも始まっています。
料飲業者が安心して営業できる環境づくりを進めるためにも、問題だらけの風営法の改正や解釈運用基準の見直し、取り締まりの是正が急務です。
全国商工新聞(2016年9月5日付) |