TPPめぐり国会審議入り 批准阻止へ地域から怒りの声を
TPP(環太平洋連携協定)の承認案と関連する11の法案が衆議院で審議入りし、論戦が始まりました。
安倍自公政権は一括法での審議で成立を急いでいますが、批准を強行することなど許されません。
論戦の冒頭に出された政府の交渉資料も一切が黒塗りされ、情報公開は極めて不十分です。こうした中、学者や専門家らでつくる「TPPテキスト分析チーム」などによって、新たな問題点も分かってきました。
「保険」分野では、協定文そのものに共済の文字はないものの、米国が主張する「保険」には共済が含まれ、すべての共済をもうけ本位の「保険」と同様に扱うよう迫られることになります。「投資」「政府調達」では雇用、物品、サービスを地元から「現地調達」することができなくなり、地方自治体が行う「中小企業振興基本条例」や「公契約条例」の制定が規制され、地域循環型経済に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。重大なのはこうした「条例」が多国籍企業などに損害を与えたとして外国の投資家が相手国を訴えることができるISDS条項によって、国や自治体の主権が脅かされることです。
自民党は「聖域なき関税撤廃のTPPには参加反対」と公約していました。今回、関税撤廃の例外を確保したとしていますが国会で決議された米、牛肉など「重要5項目」でも約3割の品目で関税が撤廃されています。「全品目で開放の疑い」があるなど国会決議、公約違反は明らかです。
国民への情報開示と、徹底審議こそが必要です。交渉を主体的に行ってきた甘利明・前TPP担当相から説明を受けるのは最低限の条件であり、強引な委員会運営は許されません。
最大の締結国であるアメリカでは、次期大統領選挙の有力候補がTPP参加に批判的です。各国でも批准の見通しがない中、日本だけが国内の承認を急ぐのは道理がありません。国民の暮らしや安全、いのちより大企業の利益を優先するTPPからは撤退するしかありません。署名を広げ、批准阻止へ地域から怒りの声を上げましょう。
全国商工新聞(2016年4月18日付) |