選挙制度改革 民意を正確に反映する仕組みに
16日、衆議院で戦争法案が強行採決され、参議院に送られました。今後の日本のあり方をめぐる重大局面を迎えています。
しかし、その国会が民意を正確に反映しているとはとても言えません。それは、大政党だけが有利になり、多くの国民の意思が「死に票」として葬られる小選挙区中心の選挙制度によって構成されているからです。
昨年の総選挙で自民党は有権者のわずか17%の得票で過半数を超える議席を獲得しました。小選挙区では48%の得票率で76%の議席を得たのです。
有権者の2割にも満たない得票で、過半数の議席をかすめ取り、国民の多数が反対する戦争法案や消費税増税、原発再稼働、TPP(環太平洋連携協定)参加を強行しようとするのは、大政党のおごり以外の何ものでもありません。
今、国会では衆参両院の選挙制度に関する議論が進められていますが、民主主義の根幹に関わる選挙制度の是正は待ったなしの課題です。
参議院では、自民党が「二つの隣接する県の合区を含めた10増10減案」を決め、会期中の議決をめざしてします。しかし、この案では1票の格差がこれまでの5倍から3倍になる程度であり、最高裁判所が「違憲」とした基準を満たさず、とても選挙制度‘改革’といえる代物ではありません。
一方、衆議院の「選挙制度調査会」は、11回の会合を開き、一定の議論がされたとして、集約の方向を打ち出しています。昨年の衆議院選挙でも、一票の格差が2倍以上あり、相次いで「違憲」判決が出ているにもかかわらず、抜本的な是正の方向は打ち出せず、定数削減ありきの議論に終始しているのです。
選挙制度について全商連は「民意を反映する選挙制度への改正」を掲げ、小選挙区制の廃止を求めています。
国民の声が国会に届きにくくなる議員定数削減や、小手先での一票の格差「改善」など論外です。小選挙区制を廃止し比例代表制に切り替えるなど、真に民意を議席に反映する選挙制度へと抜本的に改革することこそ必要です。
全国商工新聞(2015年7月27日付) |