医療保険改悪法の強行成立 健康と暮らし守る運動の強化を
医療保険制度改悪法が5月27日、参院本会議で成立させられました。国民の健康と暮らしに重大な影響を与える悪法の採決を強行した自民、公明両党に満身の怒りを込めて抗議します。
医療保険制度改悪法は、国民健康保険(国保)料・税の引き上げと徴収強化、協会けんぽ加入者の負担増、入院給食費の値上げをはじめ、医療費削減の仕組みづくりや紹介状なしでの大学病院受診に定額負担を導入するなど、国民から病院を遠ざけ、皆保険制度の破壊に道を開くものです。
新設された「患者申し出療養制度」は、安全や有効性が不確かな保険外診療を拡大し、原則禁止されている「混合診療」の解禁に結び付く危険性があります。
小泉政権時代を上回る年間3000億から5000億円もの社会保障費抑制策を消費税増税と同時に行い、国の責任を後退させる安倍政権の国民だましを許すわけにはいきません。
全国の民主商工会が取り組んだ全会員調査結果が示すように、中小業者の健康は危機的状況です。「健康に不安」が59.2%、「治療中の病気がある」が44.5%に達しています。医師から休むよう指示されていても仕事のために休めなかった人は7割を超えます。
税や社会保険料を滞納している人のうち、国保料(税)が57.8%と最も多く、これ以上の値上げに耐えられる状況ではありません。生存権を脅かす強引な徴収も広がっています。
医療保険制度改悪法が、こうした中小業者の状況をさらに悪化させることは明らかです。全商連は法案成立後、直ちに事務局長談話を発表し、あらためて国会で徹底的に論議し、同法を廃止するよう求めました。
今後、この悪法の具体化にどう立ち向かうかが問われます。
国保料(税)の決定や徴収などの財政運営、医療費適正化計画作りなどを都道府県に委ねる法律の仕組みや課題をつかみ、「住民の福祉の増進」という自治体の本旨や憲法25条に基づく「健康で文化的な生活」の実現をめざし、悪法から命と健康を守らせるよう自治体に迫ることが重要です。
全国商工新聞(2015年6月8日付) |